内容説明
日本はアジア大陸の東方の海上にあって、歴史上大陸の政治の動きから直接に影響を受けることは多くありませんでした。それだけ、独自の歴史を歩む余裕があったといってもよいでしょう。しかし、近代になると、日本の進路は大陸と切っても切れなくなります。日本はアジア地域に、さまざまなかたちで影響力を拡大しようと試みました。アジアの側から歓迎されない場合も多かったようです。近代の日本とアジアの関係をもう一度考えてみたいと思います。
目次
日本人はアジア人か
1 「アジア」概念の流入と受容
2 大陸への恐れと「文明日本」の差別化
3 近代日本の自意識とアジア
4 「大アジア主義」の歴史的意味
著者等紹介
並木頼寿[ナミキヨリヒサ]
1948年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専攻、中国近代史、近代日中関係史。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鍵窪錠太郎
3
日本人のアジア認識、とりわけ対中認識を中心に書いており、幕末から明治にかけての近代化への成功と、清朝末期の没落した中華文明(清朝だから満州系だけれど、それはさておき)など色々な要素が複雑に絡み合い、結局日本人のアジア認識は纏まらなくてそのツケは、当時は他のアジア地域に、今は自国に回っている様に思える。やや消化不良感が否めないが、著者の「「先進の日本」が他の「更新のアジア」を指導し、リードするという幕末・明治以来の「近代」の日本人の思いは、そろそろ使用済みとなりつつあるように思える」という意見には同意見。2017/07/26
ドウ
3
日本の近代に於けるアジア観について基礎的な知識を載せた薄いブックレット。日本のアジア主義・対中認識はかなり難しい問題だけど、時々こういう本を読むと自分なりに再考する良い機会になる。そもそも日本は(ヨーロッパ的意味での)近代に突入したのかとか、日本のアジア認識は果たして1945年前後で変わったのかとか。2016/04/04
搖珞
1
私たちは、もっと自国について知るべきだ。2012/07/26
紙魚
1
アジア認識と題してあるが、その実はほぼ対中認識について書かれてある。敬い、畏れ、蔑み、協力関係を模索したり、進出侵略の地として捉えたり、あるいは解放の対象と見たり。近代日本人が中国に抱いた様々な考えが述べられている。特に目新しいこともない。中国との関係史については層が厚いため、類書を読んだことのある人にはもの足りないでしょう。2009/04/01
こずえ
0
表紙がまさにそれ。 日本人は海外をどうみてきたかをまとめている。現代日本が海外をどう捉えているかの本と合わせて読むと面白い(その手の本で良書が思いつかなくてすまない…)