内容説明
今日、サハラ砂漠の北にはアラブ系の人びとが、南側には黒人系の人びとが住んでいる。二つの世界が定期的な交易活動を開始した十世紀ころから、アラブ人たちは黒人たちに関する情報を記述するようになった。しかし、観察し、記述した「北」による「南」に対する認識は、過去の歴史をこえて、現代に生きる私たちに「負の遺産」として伝えられている。本書ではサハラの南北交流史をたどりながら、この「負の遺産」の成り立ちを検証する。
目次
サハラの南と北
1 塩金交易の時代
2 スペインとつながったサハラ交易
3 サハラ交易の繁栄と富豪商家の出現
4 黒人王国とヨーロッパ商人
5 新時代の到来と奴隷交易
著者等紹介
私市正年[キサイチマサトシ]
1948年生まれ。北海道大学大学文学部卒業。中央大学大学院博士課程単位取得退学。専攻、アラブ社会史。マグリブ・アラブ地域研究。現在、上智大学外国語学部(アジア文化研究所)教授
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感想・レビュー
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こずえ
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アフリカの交易というのはあまり高校世界史では触れられないが、大学以上では案外重要で(言語的・経済的関係性から)そこについて知識を整理するのに役立つ
matypoyo
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学生時代に世界史で、アフリカが出てくるのはエジプト文明のあと、しばらくたってから、イギリスの植民地の話がでてきてからの記憶があります。 その間、何があったんだろう?どうして、アフリカは植民地となったんだろう?という疑問を最近もつようになりましたが、その答えがここに書いてあります。 西欧の強国は、アフリカを目指したのは、労働力、そして金を狙っていたというのが本書に書いてあり、妙に納得。 植民地支配で、大規模農業をするための労働力がほしかったんだなということも想像できますし。 歴史を学ぶのはなかなか楽しい。2016/06/10
うさこ
0
黒人世界とアラブの交易も多様です!2011/10/19