内容説明
侵略か解放か。戦後繰り返されてきた日本近代史の歩みをめぐる論争に光をあてて、この問題をふたたび考えることとしたのが本書である。侵略か解放か、は日本近代とアジアのかかわりかたを大きな道筋で把握しない限りそのどちらと決めることはできない。本書は、さまざまな学説を視座において、その歴史の流れの整理をつうじてこの本質的問題に迫ることを課題にしている。
目次
1 日清・日露戦争とアジアの植民地化の始まり
2 第一次世界大戦とその後の植民地の変容
3 満洲事変と満洲国
4 日中戦争
5 アジア・太平洋戦争
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更紗蝦
9
日清戦争による台湾の領有から「大東亜共栄圏」の崩壊までの流れを丁寧に解説した本です。著者は「正当な理由もなく他国の主権を踏みにじりその国を従属下におくこと」を「侵略」と定義しており、日清戦争から大東亜戦争までを「侵略戦争」と見做していますが、日本の戦争犯罪を断罪するというスタンスではなく、いつ・どこでどんな出来事があったのか、誰が何をしたのかを淡々と書いています。「侵略か解放か」のジャッジよりも、まずは「戦争の流れ」と、「その流れを決定づけた判断」を知っておくことの重要性を感じました。2016/06/10
ののまる
4
すごくコンパクトに因果関係含めてわかりやすい。2024/03/15
(も´・ん・`ち)
2
日本人の誰が何をしたかが詳細に書かれていて、予備知識のない私には難しかった。日本がアジアを強制的に植民地化していた事が書かれていて、なぜ今でも反日運動がされているのかが少し理解出来た。2014/02/16
三城 俊一/みきしゅんいち
1
日清戦争によって日本が初めて植民地を得てから、太平洋戦争で敗れるまでのアジア侵略の概略を描く。ページ数も少ないため、ざっくりとした流れだけではあるが、読みごたえはあった。 例えば、朝鮮や台湾、満州国などの統治機構や経済の状況などは、世界史の教科書のみではなかなかカバーしきれない。日本が日中戦争期にアヘン密貿易に手を染めていたことなど、興味深い記述が多かった。2018/10/13
gorgeanalogue
1
北方と南方の植民地に質の差異があったこと、開戦前の日米対立のあり方などについては目を開かれたが、後半は歴史事実の羅列になってしまっていて少ししょぼい。まあこの薄さだから仕方がない。2018/01/28