目次
ヨーロッパ中世のなかの農村と農民
1 中世農村を取り巻く自然
2 フランク時代の農村
3 中世農村の成立
4 黄昏の中世農村
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
もみち
10
【大学】p.30 貨幣経済についてのところで、銀貨が1枚だけ出土した遺跡の話で、妄想が膨らんだ。旅人が支払いで出したけど、結局使われることがないまま〜とか。農村の耕作地についてだが、農民一人ひとりの土地として区切られていたわけではなかった。柵すらない。だだっ広い畑を、馬にすきを引かせて耕していた。というのも、馬(とその一式耕作用具)は方向転換しづらかったから。そういう広い畑に対して、農民の家が固まって建てられていたというのは、初歩的な新発見でした( ̄▽ ̄;)2017/12/28
サアベドラ
9
中世初期から後期までのヨーロッパ農村の展開を、北フランスでの事例を中心に概説。気候変動から社会構造の変化、農民の生活誌と、限られた紙幅でそれぞれのトピックが丁寧にまとめられている。著者はナンシー大学で博士号を取得した人。現在は早稲田大学で教鞭をとっておられます。ちなみに、ホイジンガの『中世の秋』の翻訳で有名な西洋史家の堀越孝一氏とは別人です。2012/12/25
†漆黒ノ堕天使むきめい†
8
農村の仕組みについてをまとめてくれている本。 なかなか農民に関する用語や状況については世界史では習うことが少ない。 そのためこのような流れで、変わったんだなあと分かる。 また自分の農地を3年で全て使い切るような育て方をしたり、多くの種類の麦を育てる時代があったことは知らなかったので、特に印象に残っている。農業史と言うのも見ていくと面白いのではないかと、気づかせてくれるような良い本であったと感じている。2015/08/08
さぶろうの領土
5
「そもそも人口の約9割は農民なのだ」中世ヨーロッパについて語られる時、あるいは描かれる時というのは大抵、皇帝、国王、貴族、聖職者、商人といった上澄みの人々についてばかりが取り上げられる。彼らが歴史を動かしてきたわけだし当然と言えば当然だが、私はそういった歴史の動きの中で、陰に隠れた一般人の生活に思いをはせるのが好きなのだ。これを一冊読み終わる頃にはもうちょっとコレについて知りたかったとか、ここもうちょっと詳しく書いて欲しかったとか思うが、そういう知りたいことを明確にするためのとても良いシリーズだと思う。2022/11/29
恒々
4
薄い本だが何度読んでも頭に入りづらかった。一つ一つの説明は定量感や図表もあって理解しやすく感じるが、自分の素養無さゆえに、カロリングだのカペーだの横文字がまったく覚えられない。記憶に残るのは、気候は時代ごとに変わること、アルプス以北は森が主体で家族規模の原始的な狩猟牧畜が主流。10cからは水車や鉄、動物によって負担が減り、森が開拓され、家族的→地域共同体へ発展しつつ、人口も増えて支配者層との均衡が図られる。14c頃は飢饉・疫病で土地は再構成され、放牧も含む地域特色が現れながら、現代へ続いてくる。2022/05/08
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