内容説明
本書は、オスマン帝国の構造とその変化を軸に、近代にいたる歴史をたどっている。
目次
オスマン帝国史の課題
1 オスマン帝国を生んだ世界
2 オスマン帝国史の展開
3 軍事制度と徴税システム
4 中央官僚制度
5 オスマン帝国下の社会
6 分権化の時代へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チョコ
54
ドラマ「オスマン帝国外伝愛と欲望のハレム」関連本を探してたどり着いた本。世界史資料集的に見やすくわかりやすく面白かった。ハレムの奴隷というけれど、いわゆるアメリカの奴隷制度とは全く違う。2022/07/05
更紗蝦
30
「何々民族の国」という考え方も実態ももたないオスマン帝国の実像をコンパクトにまとめており、「イスラム教徒対キリスト教徒」「トルコ(オスマン)対ヨーロッパ(ビザンツ)」という“対立構図”のイメージで捉えていた自分にとっては、目からうろこが落ちる本でした。宮廷出身の特殊技能者の代表例として紹介されている建築家スィナンは、この本で初めて知り、とても興味を持ちました。2025/03/23
Koichiro Minematsu
6
当時、全盛を迎えるオスマン帝国には、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教など多宗教、多民族国家であった。 そこには聖戦(ジハード)でのイスラム教対キリスト教の構図はなかった。 当時は騎士の名誉と戦利品の富を賭けての日常的戦いであった。 歴史的歪みが今のイスラム国にあるなら、怖い。2015/02/10
Saiid al-Halawi
6
近世以後、徴税請負人の台頭で中央の権勢が弱まったというのは誤りで、むしろその逆だったというのが最近の研究で明らかに。カーディーやウラマーといったイスラームの伝統的ポジションも官僚機構に組み込まれて機能し、皇帝の専制としては柔和なれどもビュロクラシーの面では確たるものがあった。2013/09/10
ての字
4
薄いながらも帝国と諸外国とのつながりや帝国の仕組みをわかりやすく書いた本。この作者は欧州フィルタがかかっていないようだし、かといってオスマン礼賛というわけでもなく、比較的冷静な視点の持ち主なのではと思われる。2009/12/02