出版社内容情報
中国史上最初の皇帝となった秦の始皇帝。東方六国を平定し、天下統一を成し遂げた彼の覇業を支えたのは、数々の書物であった。
始皇帝は各種の書物とどのように出会い、どのように読んでいたのか。当時の書物の読み方を丹念に分析していくことで、彼が生涯のどの時期にどんなかたちで書物から影響を受けて政治を行ったのかが見えてくる。秦王即位の時期には帝王学を学び、六国との戦時には戦略を学び、統一後は統治を学び、そして、晩年は不老不死へ思いを馳せるに至る。現代の私たちも年齢に応じて読書傾向が変わるように、始皇帝自身もその生涯のそれぞれの時期に応じて必要とした書物のジャンルが変わっていった。
生涯を通して様々な書物から考えを取り入れて政治を行った聡明な帝王だった始皇帝だが、なぜ最晩年に焚書坑儒という事件を起こすに至ったのか。書物を通して、新たな視点で人間始皇帝の人生を見つめ直す。
内容説明
帝王学を学び、戦略を学び、政治を学び、不老不死へ思いを馳せる。書物との関係を通して見えてきた、新たな始皇帝像に迫る!!
目次
序章 始皇帝の時代の書物
第1章 帝王学の書
第2章 外交と戦争の書
第3章 天下統一の書
第4章 晩年の書 方士・医学・老荘の書
終章 始皇帝の遺詔
著者等紹介
鶴間和幸[ツルマカズユキ]
1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専攻、中国古代史。学習院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
18
実際に読んだとされている『韓非子』の諸篇や、始皇帝のために書かれたとも言われる『呂氏春秋』など以外に、臣下の上奏文、臣下が編纂した『蒼頡篇』、当時の人が読んでいた睡虎地秦簡『為吏之道』、はたまた事前に文章をチェックしたはずの刻石の文章、晩年に読んだのではないかと著者が言う『老子』など、幅広い書が挙げられている。その他焚書坑儒など関連の話題に対する考察も盛り込まれている。いささか主旨から外れているのではないかと思う部分もあるが、紙幅の割には充実した内容となっている。2023/03/30
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