内容説明
写真術の草創期は、欧米の近代科学導入に積極的な各藩と蘭学者たちによる研究と実験の成果によっていた。肖像写真中心の幕末から、明治という時代の幕開けとともに、写真師たちは活躍の場を大きく拡げていった。貴重な古写真で見る幕末明治。
目次
カラー特集 写真で見る幕末明治
幕末明治の日本の写真師たち
幕末諸藩の写真研究
殿様が撮った幕末明治
甦る幕末の長崎
熊本の写真師・冨重利平
横浜の写真師たち
外国人がお土産にした横浜写真
江戸・東京の写真師たち
明治の写真心得事情〔ほか〕
著者等紹介
小沢健志[オザワタケシ]
1925年生まれ。東京国立文化財研究所技官、九州産業大学大学院教授などを経て、日本写真協会名誉顧問、日本写真芸術学会名誉会長。東京都歴史文化財団理事。日本写真協会賞功労賞・文化庁長官表彰受賞
高橋則英[タカハシノリヒデ]
1978年、日本大学芸術学部写真学科卒業。日本大学助手、専任講師、助教授を経て、2002年から日本大学芸術学部教授。専門領域は写真史、画像保存。2000年より小沢健志元教授の後を継ぎ写真史を講義。技術史にも重点をおき日本初の実用的写真術コロジオン湿板法の実験等も行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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καйυγα
10
幕末から明治の写真集。写真の歴史に興味を抱き、やっとこさ行動に起こして本書を手にする。白黒がメインだけど意外とカラーもあって驚いた。しかもイラストみたいな写真も数多く、「ホント?ホントに写真ですか?」と何度も目を凝らして見入ってしまった。武士の方々や女性の方々のもの凄い緊張感溢れる堅い顔は、写真慣れしていないせいからなのか、はたまた魂を抜かれる恐怖心からなのか。兎にも角にも表情がぶっきらぼうでそこがまた良い味を出している。町並や風景の写真も掲載され、その時代を再認識。写真の素晴らしさ、確と伝わりました。2015/08/03
みかりんご。
5
【図書館】幕末から明治期の人物や風景などの写真集。◆当時の日本人は肌の色が浅黒くて顔が大きくスタイル悪し。P65「くつろぐ庶民」の後方1番左側の人物が爪で引っ掻いたように白く消されているけど、どうしてかなあ。誰が写っていたのか気になる~(P72「ロシア海軍将校とムスメたち」の中央の女性もそう)。P53高須4兄弟の1人・松平容保は優しそうな若殿さま♡ 写真家・上野彦馬はどの写真見ても同じ顔なので、こういう顔(むっつりしていて怒っていそう)だったんだろうなあ。江戸近郊の農村風景と、札幌の風景との違いに愕然。2020/04/11
ゆぅ
3
開拓中の札幌や屯田兵の写真などが興味深かったです。庶民の素朴な写真は微笑ましいですね。裸婦写真も何枚か。顔切り貼りされていたり構図が凝っており面白い。あまり見れない写真台紙の裏側も。2019/02/22
綾紗
1
江戸末期の写真黎明期から明治末期までの、写真と写真師の歴史を追った一冊。日本写真の開祖・上野彦馬、構図が絵画のように美しい日下部金兵衛、肖像写真を多く残した内田九一、街並みや生活・文化財調査としての建築物や仏像を写した小川一眞などに詳しい。豊富な写真で当時の街並みや風俗が見られるのはありがたい。しかし、明治期には御法度だったヌード写真もこっそり撮っていて笑った。2018/12/12
チョビ
1
いつの時代もエロは強し!浮世絵でもハードなエロはありましたが、それが写真になったら、ねえ。ポルノだけではなく、この時代にも(だからこそ?)アイコラがあったりして楽しめました。今の精密なデジカメでは味わえないですな。また、このころは撮影技術を持ち合わせている人が本当に一握りなのですが、いい写真が多いなと思いました。2015/09/13