内容説明
伝統芸能「能楽」の成立から完成まで、演目や秘話も紹介。
目次
第1章 能狂言はどんな演劇か―能の構造はシンプル
第2章 脳の深層と能の真相―感動の秘密
第3章 能誕生の謎・ミッシングリンク
第4章 芸能市場の誕生と変動
第5章 能面・装束・能舞台
第6章 能の社会学―システム
第7章 能の経済学
第8章 発見=能狂言を楽しむキーワード
第9章 初めて能を見る方へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
牧神の午後
6
能に関する概説、歴史や見方の説明よりも、能楽者の年収や各派の内幕とかどう見てもワイドショーな下世話な話があって非常に面白い−−というか、ここまで書いて良いのか?と心配になるレベル。ただ、それらも下衆な好奇心で採上げているのではなく、このままだとジリ貧になるかもしれない能の未来を憂い、本当は魅力のある能がいかにしてこの先生き残るかを真剣に考えてのこと。後書きで筆者も「遺言のようなもの」と書いた気迫は、本文からも十分に伝わってくる。また能を見たくなってきた。2013/07/06
O. M.
4
能楽の歴史から現状を、能楽ファンの視点から紹介した一冊。幅広いトピックで焦点が少しぼやけている感もあったが、本書では、類書で取り上げられにくい能楽界の内情(家元制度の現状や、能楽師の収入など)を扱っており興味深かった。どうしても芸術文化活動には経済的にパトロンがいないと難しいですね。2013/09/09
wang
3
能の歴史や衣装舞台などの道具類。さらには現代能役者たちの収入など幅広く。著者は元NHKディレクターで能の周辺から関与した経験で非常に詳しいが外部の目で冷静に観察し厳しく評価をしている部分もあるのがよい。特に能の言葉が鎌倉以後成立した武士の共通語と重なるという考察は興味深い。2013/01/06
wang
2
能面のように無表情と言われるが、実際には表情が変わらないはずの能面を能役者が付けると角度の付け方、光の明かり方などで多様な表情を見せる。能の演目では一人の役者が途中から別の人物を演じることがよくあるとか。舞台上にほとんどセットがなく抽象化された舞台や人物像など約束事がわからないと戸惑うことが多い。本書で見方、約束事などを知ればもう少し楽しめるかもと思い読んだ。演目の筋などはチョットだけ。見て面白い能と退屈な能、演じて面白い能などがあるとか。初心者向けの物から見た方がいいみたいだ。2023/05/15
k_
2
家元制度などがカジュアルに解説されていて興味深い。2014/06/05