内容説明
生命はどのようにして誕生したのか?生命の進化は物理法則で説明できるのだろうか?ニュートン以来、私たちは、物理学を頼りにしてこの世界を認識してきました。しかし物理学だけでは、私たちがどこから来たのか、どのようにして出現したのか、そしてなぜ私たちの世界が単細胞生物から非常に複雑な生物圏へと進化してきたのかを知ることはできません。本書は、複雑な化学環境から、増殖する分子、代謝、初期の原始細胞への進化、さらには私たちが生命と呼ぶ存在への進化について、物理法則には手の届かない形で迫っていきます。
目次
この世界は機械ではない
機能の機能
増殖する組織体
生命の神秘を暴く
代謝の作り方
原始細胞
遺伝可能な多様性
我々がプレーするゲーム
エピソード 原始細胞たちの驚くべき実話
舞台は整った
外適応とねじ回し
物理学を超越した世界
エピローグ 経済の進化
著者等紹介
カウフマン,スチュアート・A.[カウフマン,スチュアートA.] [Kauffman,Stuart A.]
医学博士、理論生物学者、複雑系研究者。シカゴ大学とペンシルヴァニア大学で教授を務め、1987年には進化生物学のマッカーサー・フェローシップを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
センケイ (線形)
10
普遍生物学関連として読了。やはり数式なしで構造を掴むのは限界を感じるものの、複雑性がどのようにして連鎖的に増しうるかのアイデアや糸口を、細部に囚われすぎずに目で追っていけたのは良かったと思う。オートポイエーシスの議論で引き合いに出される部品の自主制作を考えた場合、その部品が束縛力であるとすることによって具体的な実装に落とし込めるかもしれない。2022/06/30
shin_ash
4
読み始めると生命や生命の起源の理解に迫ると言う意味で興味深い話が展開する。演繹的に理屈を積み上げるのではなく、生命現象の様な状況を生み出すために必要な3つの閉回路を解説し、そう言う閉回路を持つシステムならオートポイエイシス的な自律性を獲得できることを説明する。その3つの閉回路を持つシステムの出現状況を俯瞰すれば多様なモノやシステムの集合の方が新たなシステムの出現に有利でそれが進化に繋がることを解説する。非常に面白く示唆に富むが、説明できるほど理解できた訳でもない。最終的にはネットワーク科学的な話になった。2022/07/16
人生ゴルディアス
4
老物理学者が生命の起源を見つけたと主張する本。本当に最近多いな……。本書で主に論じられるのは、生命が仕事をなす基幹部分である代謝機構みたいなものが自然界で本当に勝手にできるのか?熱力学第二法則に反してないか、というもの。どうやら分子間の化学的反応というものは、ある存在が別の存在を生成する触媒となり、その連なりが円を描くことがあるのだと言う。これを触媒閉回路と言い、ランダムな化学反応よりも効率的に化合を行うという意味で、原始的代謝機構と見なす。(最終生成物であるエネルギーの低い化合物はいわば糞)2021/01/12
S
3
年齢から言って著者の複雑系(生命系)に対する見方の総決算か。大事なことを言っている気もするが、一方でぼんやりしている、というのが正直な感想。適切な言葉がないせいかもしれない。2021/03/08
ウオオオオオ
0
本題はさておき、iPhoneで本をコピーするビジネスの話のソースが気になった。2023/11/12