出版社内容情報
この世から「数学ぎらい」をなくすことを目指す気鋭の研究者による,常識破りの入門書.
数学の中でももっとも抽象的とされる圏論は,さまざまな科学分野に応用され,注目されています.ですが美術大学で教鞭をとり,多数のポピュラーサイエンス書の著者であるユージニア・チェン氏は,科学にとどまらず身のまわりのあらゆる場面にまで圏論の具体例があり,その考え方そのものが楽しいのだと訴えます.
本書では,家族関係,旅行,料理や社会問題といった題材を出発点にして,抽象数学と圏論の世界を案内します.入口のハードルは徹底的に下げられており,予備知識はほとんど必要ありません.計算したり問題を解いたり,細部を深く考え込んだりするのではなく,図を見て,描きながら,どんどん読み進めることができるように工夫されています.
「圏論に興味はあるけれど,ほかの本は難しかった」という方はもちろん,「新しいものの見方や思考法を知りたい」「きっかけがあれば大学レベルの数学に触れてみたい」という方など,多くの方に発見と示唆を与えてくれる一冊です.
[原著]The Joy of Abstraction: An Exploration of Math, Category Theory, and Life (Cambridge University Press, 2022)
【目次】
プロローグ
第Ⅰ部 圏を組み立てる
第1章 圏:その考え方
第2章 抽象化
第3章 パターン
第4章 文脈
第5章 関係
第6章 形式化
第7章 同値関係
第8章 圏の定義
インタールード 数学ツアー
第9章 すでにこっそり示していた圏の例
第10章 順序集合
第11章 小さな数学的構造
第12章 集合と関数
第13章 大きな数学的構造の世界
第Ⅱ部 圏論をおこなう
第14章 同型射
第15章 モノ射とエピ射
第16章 普遍性
第17章 双対性
第18章 積と余積
第19章 引き戻しと押し出し
第20章 関手
第21章 圏の圏
第22章 自然変換
第23章 米田
第24章 高次元圏
エピローグ:圏論的に考える
付録A アルファベットに関する予備知識
付録B 基本的な論理に関する予備知識
付録C 集合論に関する予備知識
付録D 位相空間に関する予備知識
【目次】