出版社内容情報
生態学の問題から生まれた数学が,純粋な理論としても発展しながら,さらに物理学,情報科学,経済学,社会学といったさまざまな分野で用いられる可能性を秘めていた――
生物多様性の定量化に対する圏論的な研究から発展した,奥深い数学の世界を味わう.
「多様性の尺度がみたすべき性質は何か」「その性質をみたす関数はどんな形をとらねばならないか」という公理的なアプローチによって,Shannonエントロピーを出発点に,Renyiエントロピーやq対数的エントロピー(Tsallisエントロピー),そして生態学におけるHill数,アルファ多様度,ベータ多様度,ガンマ多様度といった概念を展開していく.
その中で,「どんなときに多様性は最も大きくなるのか」という問題には,圏論的な不変量であるマグニチュードという概念が関わることが明らかになる.また最終章では,エントロピーの圏論的な起源を探り,純粋数学の心臓部にもエントロピーが現れることを見る.
本書では,ほかにも関数方程式,情報理論,幾何学的測度論,確率論,数論といった,数学の幅広い分野が取り上げられている.一方で,初等的な解析学さえ知っていれば本筋を追うことができるよう注意が払われている.
[原著]Entropy and Diversity: The Axiomatic Approach (Cambridge University Press, 2021)
内容説明
物理学、情報科学、経済学、社会学…さまざまな分野への応用の可能性を秘めた、「応用数学」の固定観念への挑戦。
目次
第1章 基礎的な関数方程式
第2章 Shannonエントロピー
第3章 相対エントロピー
第4章 Shannonエントロピーの変形
第5章 平均
第6章 種の類似度とマグニチュード
第7章 価値
第8章 相互情報量とメタ群集
第9章 確率的手法
第10章 情報損失
第11章 素数を法とするエントロピー
第12章 エントロピーの圏論的起源
付録A 予備的事実の証明
付録B 条件の要約
著者等紹介
Leinster,Tom[LEINSTER,TOM] [Leinster,Tom]
トム・レンスター。エディンバラ大学教授。2019年にショーヴネ賞を受賞
春名太一[ハルナタイチ]
東京女子大学教授。博士(理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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