出版社内容情報
高野山麓の水源信仰と祖霊の鎮もる神奈備の山岳信仰を起源に、弘法大師の入山と密教学問方の学侶僧、本来的修行者行人山伏、勧進・遊行の職能者高野望、彼らの活動を通して高野山宗教史の全貌を総体的に究明する。高野山関係史料を収録。
内容説明
山岳宗教史の一部として高野山をとりあげることになったが、高野山は真言密教の本山となったために、その山岳信仰はいささか曖昧になった。しかし信仰の山としては弘法大師の廟を中心とする弘法大師信仰につらぬかれており、また日本総菩提所としての納骨信仰で知られている。こうした信仰の発生は、実はこの山に山岳信仰が存在したことの証拠になる。高野山金剛峯寺行人方は鎌倉時代の大峯修験三十六山の一にかぞえられる山伏であった。その修行は大峯入峰はもとより、葛木山入峰をおこなった記録があり、高野山外周の八葉峯めぐりや、摩尼山、楊柳山、転軸山の三山めぐりの修行があった。ことに天野社の長床衆とよばれる行人は葛木入峰で知られていた。高野山行人の修験行事は、高野山にもと修験道があった証拠で、本巻ではその山岳信仰を、空海以前の高野山の山岳信仰、それと空海の優婆塞時代の山岳修行、そして日本密教の山岳密教的性格、この三点から追究している。
目次
総説 高野山の山岳信仰
第1篇 高野山の山岳信仰と弘法大師
第2篇 高野山の密教
第3篇 高野聖と行人
第4篇 高野山の荘園
第5篇 醍醐の修験道
史料篇(高野山関係史料;史料目録;高野山略年表;高野山関係地図)
著者等紹介
五来重[ゴライシゲル]
1908年茨城県日立市に生まる。東京大学文学部印度哲学科・京都大学文学部史学科卒。高野山大学教授などを経て、現在大谷大学名誉教授。『熊野詣』『山の宗教』(淡交社)『高野聖』(角川書店)ほか著書・論文多数
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