内容説明
いざ、外国人力士にインタビューしてみると、著者の予想や仮説とは大きく異なる学習法があることが次々に分かり、まさに目から鱗が落ちる思いであった。そして驚くべきことに、彼らの学習法は、著者が研究課題の一つとしていた、バイリンガル(二言語併用)教育の中のイマージョンプログラムという教授法の理論に見事に合致していたのである。初めのうち、日本語教育関係者にでも、読んでいただければと書きはじめたが、効果的でおもしろい「外国語学習参考書」として、外国語で苦労している日本人を勇気づけられればと考えなおした。特に、外国語学習に興味がある、二、三十代の女性、さらには、外国語教育に関心のある方などに、ぜひ読んでいただきたい。
目次
第1章 モンゴル力士、大学の教壇に立つ―旭天鵬の日本語力
第2章 辞書などなくても―教室の外に上達の王道がある
第3章 「おかみさん」は最良の日本語教師―ことばを育む「母親」たち
第4章 外国人力士の「日本語応援団」―兄弟子、床山、教習所
第5章 下町人情と外国人力士―地域との交わりは最高のけいこ場
第6章 教室以外の学習チャンスを生かそう―最新の言語学習理論にかなった学び方
第7章 外国語学習に悩むあなたへ―目からウロコのヒント集
第8章 外国人力士と相撲界
著者等紹介
宮崎里司[ミヤザキサトシ]
早稲田大学助教授(日本語研究教育センター及び大学院日本語教育研究科)、早稲田大学卒業後、オーストラリアのモナシュ大学で応用言語学博士号取得。研究分野は日本語教育、第二言語習得、学習ストラテジー、接触場面の談話習得過程、バイリンガル教育とイマージョンプログラム、日本語学習者の脳の言語処理過程など。「外国人力士の日本語習得」は最新の学習理論を裏付けるものとして、持ち前の行動力で相撲部屋を中心に多くのインタビュー調査を行った。10年にわたるメルボルンでの生活は研究と教育のためのものだったが、まず著者自身は英語習得という大きな壁にぶつかった。また、日本語を学ぶ学生の習得度合いに個人差が大きいことに気がついた。その結果、外国語習得の最大の成功例は日本にいる外国人力士にあるのではないかという仮説に辿りついた。’97年より早稲田大学の教壇に立つようになり、相撲協会に申請した外国人力士への取材の許可も得られた。これをきっかけに、以来10人の外国人力士や4人のおかみさん(親方夫人)をはじめ、約30人への面会を敢行した。一人の語学の達人を生み出すために、数多くの優秀な日本語教師が支えていることを発見すると同時に、ちゃんこの味が染みるほど日本語に漬け浸す習得法が最新の語学学習理論と一致する、すばらしいヒントに満ちたものだという確信を抱いた。著者の趣味はメルボルン滞在時代に少々かじった社交ダンス。年数回、メルボルンの自宅に帰り家族と過ごすことを楽しみにしている。共編著に「日本語教育と日本語学習:学習ストラテジー論にむけて」
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