内容説明
『墨子』は墨家集団の創始者である墨子とその門人の思想を伝えるものである。現存は五十三篇で、平等博愛の高唱・侵略戦争の否定・節倹と勤労の実践・人材登用における門戸開放等、現代に通ずる進歩的主張がなされている。いずれも庶民的な生活感情に立った主張で、当時の社会の盲点を鋭く衝き、紀元前に、近代的精神を志向した特異の書として再評価されている。本書では「思想」「論理学・科学知識」「墨子の言行録」「攻城への守禦法」等の観点から、その概略を示した。
目次
尚賢上篇―官に常貴無く、民に常賎無し
尚同上篇―上の是とする所は皆之を是とし、非とする所は必ず皆之を非とせよ
兼愛上篇―天下は兼ねて相愛すれば則ち治まる
非攻上篇―一人を殺さば之を不義と謂い、必ず一死罪有り
節用上篇―無用の務めを去り、聖王の道を行うは、天下の大利なり
節葬下篇―葬埋節有り
天志上篇―天は義を欲して不義を悪む
明鬼下篇―鬼神の有ること、豈に疑う可けんや
非楽上篇―楽を為すは非なり
非命上篇―有命を執る者の言は、非とせざる可からず〔ほか〕