出版社内容情報
海外の日本語シリーズ最終巻!フィールドワークの成果をふまえ、サハリンに残る日本語の実態をみる
シリーズ最終巻の本書では、サハリン(旧樺太)に残存する日本語についてのフィール
ドワークの結果と分析を紹介する。
日本語樺太方言と北海道方言との関連性、多言語社会であったサハリンの中での日本語
の役割、また漁撈という職業を介しての言語接触など、関連する情報を整理しつつ、接
触言語学的な視点からの問題提起をしている。
第1章 サハリンの概要
1.1 はじめに
1.2 位置
1.3 地勢
1.4 人口
1.5 民族構成
1.6 使用言語
1.7 サハリンへのアクセス
第2章 サハリンの言語接触史における日本語の位置付け
2.1 はじめに
2.2 サハリンにおける言語接触の変遷
2.3 サハリン先住民の時代
2.4 周辺諸国との交流の時代
2.4.1 中国との交流の時代
2.4.2 日本との交流の時代
2.4.3 ロシアとの交流の時代
2.5 日本領サハリン(樺太)の時代
2.5.1 日本人を対象にした学校教育
2.5.2 日本人以外の人々を対象にした日本語教育
2.6 ロシア領サハリンの時代
2.7 おわりに
第3章 サハリンの日本語を記録・保存するための調査
3.1 はじめに
3.2 フィールドワークの前にすること
3.2.1 言語研究としてのフィールドワーク
3.2.2 「危機言語」を対象とする場合のフィールドワーク
3.2.3 コミュニティから見たフィールドワーク
3.2.4 話者とフィールドワーカー
3.3 フィールドワークですること
3.3.1 言語研究としての問題設定とコミュニティへの貢献
3.3.2 コミュニティに関する情報収集
3.3.3 コミュニティへのアプローチ
3.3.4 調査設計
3.3.5 調査で使う言語
3.4 フィールドワークの後にすること
3.4.1 データ整理・整備
3.4.2 コミュニティへの還元
3.4.3 調査データの継承
3.4.4 研究成果の公表活動
3.5 おわりに
第4章 サハリンに生まれた日本語の接触方言
4.1 はじめに
4.2 樺太方言が形成された背景
4.3 樺太方言に見られる言語的特徴
4.3.1 アクセント
4.3.2 音声
4.3.3 形態
4.3.4 語彙
4.4 言語行動に見られる特徴
4.5 今後の展望
4.6 おわりに
第5章 ポロナイスク(敷香町)における言語接触
5.1 はじめに
5.2 概要
5.2.1 地名
5.2.2 位置
5.2.3 人口
5.3 日本領有時代より前の時期における言語状況
5.4 日本領有時代における言語状況
5.4.1 多言語社会としての敷香町
5.4.2 敷香教育所における日本語教育
5.4.3 日本名の付与の在り方
5.4.4 日本領有時代における言語状況のまとめ
5.5 日本領有時代以後における言語状況
5.5.1 戦後直後の日本語教育
5.5.2 1990年代以降における言語状況
5.5.3 日本領有時代以後における言語状況のまとめ
5.6 おわりに
第6章 漁撈語彙にみる言語接触
6.1 はじめに
6.2 海上交易で運ばれる言葉
6.3 サハリンとオホーツク海
6.4 サハリンにおける言語接触
6.5 日本語のサハリン進出
6.5.1 出稼ぎ漁夫が持ち込んだ日本語の方言
6.5.2 出稼ぎ漁夫と現地住民との間で使われたピジン日本語
6.5.3 出稼ぎ漁夫が現地に残した日本語の方言的特徴
6.5.4 現地の言葉からの借用語に見られる特徴
6.6 日本人居住者・出稼ぎ労働者と現地住民と言語接触の関係
6.7 おわりに
第7章 ウィルタ人の日本語に見られる言語的特徴
7.1 はじめに
7.2 ウイルタ人日本語話者の日本語に関する先行研究
7.3 調査概要
7.3.1 インフォーマント
7.3.2 データ収集法
7.3.3 調査時期
7.4 分析
7.4.1 単語リスト読み上げデータに見られるアクセント
7.4.2 自然談話資料に出現したアクセントに見られる特徴
7.5 考察のまとめ
7.6 おわりに
第8章 サハリンにおける「危機言語」と日本語教育
8.1 はじめに
8.2 サハリンにおける日本語・日本語教育
8.3 民族ごとに見る教育言語
8.3.1 日本領有時代(1905年~1945年)
8.3.2 ロシア領有時代(1945年以降)
8.4 5つの「危機言語」と教育
8.4.1 日本語樺太方言
8.4.2 朝鮮語樺太方言
8.4.3 ウイルタ語とニヴフ語
8.4.4 アイヌ語
8.5 日本語教育ならびにロシア語教育に対する評価
8.6 おわりに
第9章 まとめと今後の展望
9.1 はじめに
9.2 本書で明らかになったこと
9.2.1 サハリンの言語接触史における日本語の位置付け(第2章)
9.2.2 日本語樺太方言の特徴(第3章、第4章、第5章、第6章、第7章)
9.2.3 民族語教育から見た日本語と民族語との関係(第8章)
9.3 今後の課題
9.4 海外の日本語研究への展望
付録 サハリンでの日本語談話データ
【著者紹介】
国立国語研究所准教授。大阪大学大学院修了。博士(文学,大阪大学)。主著に『ニュータウン言葉の形成過程に関する社会言語学的研究』(ひつじ書房),『社会言語学図集-日本語・中国語・英語解説-』(共編,秋山書店),『言語の接触と混交-サハリンにおける日本語の残存』(担当,大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」報告書など。
目次
第1章 サハリンの概要
第2章 サハリンの言語接触史における日本語の位置付け
第3章 サハリンの日本語を記録・保存するための調査
第4章 サハリンに生まれた日本語の接触方言
第5章 ポロナイスク(敷香町)における言語接触
第6章 漁撈語彙に見る言語接触
第7章 ウイルタ人の日本語に見られる言語的特徴
第8章 サハリンにおける「危機言語」と日本語教育
第9章 まとめと今後の展望
付録 サハリンでの日本語談話データ
著者等紹介
朝日祥之[アサヒヨシユキ]
国立国語研究所准教授。大阪大学大学院修了。博士(文学、大阪大学)
真田信治[サナダシンジ]
大阪大学名誉教授/奈良大学教授。東北大学大学院修了。文学博士(大阪大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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