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出版社内容情報
ジャック・デリダ[ジャック デリダ]
著・文・その他
小林 康夫[コバヤシ ヤスオ]
翻訳
西山 雄二[ニシヤマ ユウジ]
翻訳
内容説明
『パッション』『コーラ』とともに「名についての三篇の試論」を構成する本書で、デリダは「否定神学」と呼ばれる論法を語り得ないものについて語る否定的言説としてでなく論法自体の可能性と根拠を再審に付す。ドイツ・バロック期の神秘主義的宗教詩人アンゲルス・シレジウスの代表作『ケルビムのごとき旅人』の否定神学的な美しく難解な詩句を引用しライプニッツやハイデガーの言説を踏まえそこに秘められた論法の根源性と複数性を明るみに出す。デリダ的論理の根幹に触れる臨場感あふれる言説のパフォーマンス。
著者等紹介
小林康夫[コバヤシヤスオ]
1950年、東京都生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学大学院博士課程、パリ第10大学大学院博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は、表象文化論、哲学、フランス文学
西山雄二[ニシヤマユウジ]
1971年、愛媛県生まれ。神戸市外国語大学国際関係学科を卒業。現在、一橋大学言語社会研究科博士課程に在籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
26
バロック期のドイツ人、アンゲルス・シレジウスという神秘宗教学詩人の詩の読解を通じて否定神学を考察しているようですが、はきりいって手に余ります。モノローグでは単なる否定神学として批判されますが、声の複数性に批判理論としての脱構築の可能性を探っているようです。東浩紀『存在論的郵便的』でも後半で同様の議論がありましたが、恐らく本書とその議論とは上手く対照関係がつくれません。2020/10/07
内島菫
20
デリダの否定神学の解釈は、彼の言う「差延」と無関係ではないだろう。「差延」はいわば言語に備わる遊戯性であり、それは花々の上を飛び交う蝶のように、言葉は言葉でありながら言葉から逃げ、移ろい、繋がっていくイメージとしての在り様を示している。否定神学の措定する神を、否定を重ねることで語りえぬ最上位の他者として特別視するのではなく、そのままに「放下」しておくこと。つまり、否定神学が拠っている大前提の「神」という名づけ自体に「差延」を持ち込むこと。どのような他者とも対話できる複数の声の可能性を常に開いておくこと。2016/09/16