出版社内容情報
R・バルト亡きあとフランス文学理論を代表する論客ジュネットの主著。構造主義的文学批評、記号論的分析、新しい修辞理論を擁して、文学から現代思想に及ぶ領域を読解する。
内容説明
ロラン・バルト亡きあとフランス文学理論を代表する論客ジュネットの第一論文集。構造主義的文芸批評、記号論的分析、新しい修辞学理論などを擁して文学理論から現代思想全般に強力な射程を及ぼし、文学作品の読解と批評理論に根源的な変容をもたらした金字塔的評論集の決定訳。
目次
逆にもなりうる世界
ナルシス・コンプレックス
〈鉄の下に金が落ちる〉
プルースト パランプセスト
定着された眩暈
マラルメの幸福?
空間と言語
牧歌にひそむ蛇
文学的ユートピア
心理読解
ベルクソン派モンテーニュ
構造主義と文芸批評
ことばと不思議
記号の裏面
文彩
フロベールの沈黙
誇張の修辞法
文学としての文学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひばりん
13
いい本です。ニッコニコしながら読んでしまいました。勿論精読するとなれば大変な本なのですが、書いてることが明晰なので、サラ読みでも主張がスッと腑に落ちてきます。それに、なんというか、「下げてから上げる」方式の書き振りになってる章がいくつかありますね。ボルヘスやロラン・バルトやヴァレリーについて、私たちが「なんとなくダメだな」って思ってることを冒頭にズバッと書いてくる。その上で「いやいや彼らは本当はこういう善行を積んでいて」とひっくり返してくる。つまりジュネット、ほんとに語りが上手!いつも頼れるお方です。2021/09/08
nranjen
5
大変気に入った。「プルースト・パランプセプト」「フロベールの沈黙」は特に好きで何度か読み返した。「記号の裏面」「文彩」は図書館に返す前にもう一度読んでおきたい。違う訳本もあるらしいことを読書メーターで知る。注意しなければならないのは、どの単語がどのような日本語にあてはめられているのかということ。要原本参照。プルーストの「エッセンシャルなもの」への志向がたゆまぬ運動を生み出し独特なヴィジョンを生み出す。フロベールの物語の有効性を危うくさせるほどの細部。鋭い観点からの分析は読み応えがあり、著者の感性を感じた。2018/01/15