出版社内容情報
前記の日本有数の昔話の宝庫である二十村郷一円の多くの話者からの昔話聞書一三四話をおさめる。苛烈な雪国の生活に直結したカタリジサやカタリバサの貴重な昔話を保存する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itokake
6
越後の山奥で著者が採集した昔話の2集め。巻頭を飾る写真は高野クラさん、90歳。囲炉裏端に正座し、右手を挙げ、いきいきと「とんと昔」を語る。この地方では昔話を「とんと昔」という。「昔話を語ってくれ」と頼むと、個人の昔の思い出を聞かされたなど、採集にまつわる苦労が序に記される。本書で一番印象に残ったのが『天人女房』。有名な羽衣伝説だが、今まで読んだり聞いたものは、オチがイマイチ。それに、天女が羽衣を盗んだ男の妻になる展開がどうもイヤで…。畔上マサさんの語りでは、男は最後に水瓜からでた水に流される。2021/12/14