出版社内容情報
1983年に36歳で夭逝した写真家の代表作。友人、家族、子供たちのさりげないポートレイトの背後から、不意に感情をゆさぶる光が輝きだす。序文・大辻清司。解説・飯沢耕太郎。
内容説明
1983年に36歳で夭逝した写真家、牛腸茂雄。彼の写真は、自らがさまざまな関係性を生きる姿勢そのものだった。本書『SELF AND OTHERS』は、友人、家族、近所の子供たちのさりげないポートレイトからなるが、自己と他者が織りなす関係の網の目に不意に生起する感情のざわめきが、「ときに涙がこぼれる」ような光を放つ。再評価の気運著しい写真家の、いま甦える珠玉の作品群。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
56
『自己と他者』の写真集は限定300部の自費出版だが、不思議な魅力に満ちている。『双子の少女』の写真家を少し信用していないかのような、写すものと写されるものの軽い緊張関係が伝わってきたり、『少女』の不思議そうな無関心な表情と部屋の中にはいる光と暗がりがある調和をもって何かを我々に提示する。2020/06/07
らぱん
18
人物が写っているという意味でポートレイトであり、内容は日常を切り取ったスナップショット、家族写真、集合写真などと言えるのだろうが、普通には見えない。どこかが変だ。ぞわぞわする。不安になる。存在の不確かさを感じる。写っているものと現実がうまく繋げられない。強く訴えてくるものがあるが言語化できない。牛腸茂雄は1983年に36歳で病没した写真家で、その後の人生があったならどういう世界観を見せてくれたのか。2019/03/25
TOMYTOMY
3
その目線や構図が刺さるというのが正しい。 記憶するということ、そこに居たんだということ。2019/05/26
まにまに
3
不思議な視点でポートレートを撮る人だと思った。どの写真も何処かに緊張感があって、まるでその被写体を宇宙人だと思っているようだ。ただの人なんだけど、写真を通して見たら得体の知れないものを撮っているみたいに、ドキドキする。子どもを撮るときの方がその感覚が強いようにも思った。2014/11/07
So Honda
2
一見普通のポートレートに見えるのだが、写る人々の眼差しを見ていくとどこか心がざわつかされる。何度も見直したくなる。2019/03/03