出版社内容情報
〔南條まさきの一年二カ月〕かつて“京大の玉三郎”と呼ばれ、実際に舞台で脚光を浴びた若き社会学者が、関西の大衆演劇一座に暮らした一年二カ月を日記風に再現・記述する民族誌。
内容説明
関西の大衆演劇一座の座員と起居をともにし“南条まさき”の芸名で歌い、踊り、芝居した若き社会学者がえがく大衆演劇の世界。南条まさきと鵜飼正樹二人の“自分”を対象にフィールドワークする全く新しいスタイルのエスノグラフィー=民族誌の誕生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よきし
2
大学院生鵜飼正樹が研究のために1年間の約束で大衆演劇の一座に南條まさきとして弟子入りした記録。日記形式で描かれる厳しい芸の世界。そして学歴社会とはまったく異なる濃密な人間の世界。面白くて一気に読んだ。また大衆演劇の観劇に行きたくなった。2009/12/16
ひつまぶし
1
20年ぶりくらいに再読。その頃はあとがきの述懐を何度となく読み返したものだった。それでも日記をまとめて「エスノグラフィーだ」と言われることに抵抗もあった。しかし、今読むとそうした物足りなさも含めて、研究史上の一つの到達点だと思う。むしろ、鵜飼の成し遂げたことがいまだにきちんと評価されないままに、フィールドワークによる成果は量産されるようになった。「日記」形式ではあるものの、まとめる際におそらくかなり手が加えられている。書かれていないことは、さらにこの何倍にも及ぶはずで、その一部が厳選されたのがこの本だ。2023/03/12