出版社内容情報
村山 淳彦[ムラヤマ キヨヒコ]
著・文・その他
内容説明
文章で食べるためには売れなければならない。しかし売れるための文章は自分が本当に書きたかったものだろうか…アメリカで初めて売文のみで生計を立てた作家エドガー・アラン・ポーのジレンマに迫る。
目次
まえがき―ポーと一人称
売文家の才気と慚愧
「アッシャー家」脱出から回帰へ
「群集の人」が犯す罪とは何か
黒猫と天邪鬼
「盗まれた手紙」の剰余
「メロンタ・タウタ」の政治思想
ポー最後の復讐
付論 ポーとドライサー
著者等紹介
村山淳彦[ムラヤマキヨヒコ]
1944年、北海道生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。東洋大学文学部教授。東京都立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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わけのしんのす
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表現者は、何かを捨てなければ為らないのしょう。 石川啄木とは異なりポーは、まともな人間だったと思いたい。 だが、結局、悲惨な終焉を迎える事になるのですが………
タケチョ
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精緻な読解を、巨視的な展望のもとにまとめた一冊。本自体は小さいが、中身の広がりと深みは大著の名に相応しい。一体これまで、「デュパンとは何者なのか。本当はこういう問題こそデュパン三部作のテーマである。」と問うた者がいたか、私は寡聞にして知らない。どの論考も読み応えがあるが、図らずもポーがその政治思想を書き込んでしまった「メロンタ・タウタ」の読解は、単に研究対象として珍しいというに留まらず、当時のポーの置かれた社会を考える上でも貴重な一編。2023/08/07