出版社内容情報
〔現代文学の開拓者〕絶対的認識を求める激越な精神と緊密で破格な文体により、ドイツ・ロマン派を代表する作家クライスト。評伝と作品論の両側面から異色の天才作家の本質に迫る。
内容説明
ドイツ・ロマン派を代表する劇作家・小説家、ハインリヒ・フォン・クライスト(1777~1811)。反ナポレオン活動に挺身した国粋的作家という従来のクライスト像を打ち破り、絶対的認識を求める激越な精神と緊密で破格な文体による現代文学の先駆者として、評伝と作品論の両側面から異色の天才作家の本質に迫る意欲作。
目次
クライスト略伝
一七九九年の転機
独白と沈黙
錯乱の構図
人形芝居
クライストにおける闘いのかたち
『こわれがめ』私記
『サント・ドミンゴ島の婚約』をめぐって
クライストの言語遊戯
『ハイルブロンのケートヒェン』あるいはモザイク美女クニグンデの闘い
ワンゼー湖畔の幻想
クライストの肖像
感想・レビュー
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goMi
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論稿「人形芝居」は学びが多かった。「「人形芝居論」の思想のみを概念的に抽出し、一般化して、作品ないし作中人物に適用してはいけない」という指摘には首肯。意識、無意識/全意識と単純な構造に落とし込んでクライストの諸作品を読解するのは安易である。 この本の論者の姿勢に一貫していると思われるのは、クライストを実世界、当世風に言えば実存から切り離さないようにしていること。クライストの優れたエッセイ『マリオネット芝居について』、他の小説や戯曲を読めば、彼が彼岸の世界への強い憧憬を持っていたことは明らかだが2020/01/16