出版社内容情報
四條知恵[シジョウ チエ]
著・文・その他
内容説明
長崎・浦上に投下された原爆は、はたして戦後どのように捉えられ、語られてきたのか。戦後70年のいま、実証的に明らかにすることで見えてきたものはなにか。失われたものの痕跡を辿る旅。
目次
第1章 歴史の語りを繙く(歴史叙述についての先行研究;歴史の物語論に対する批判;原爆被害についての先行研究;浦上の原爆の語り)
第2章 浦上と永井隆(「浦上」;永井隆の燔祭説;永井隆の燔祭説をめぐる論争)
第3章 焦点化する永井隆(占領期の長崎における原爆の語り;焦点化する永井隆)
第4章 永井隆からローマ教皇へ―純心女子学園をめぐる原爆の語り(純心の沿革と学校の被害;純心女子学園をめぐる原爆の語り;二つの語りが意味するもの)
第5章 浦上の原爆の語り(占領期;ローマ教皇庁と日本のカトリック教会の動向;浦上のひび;長崎における原爆被害をめぐる行政と市民活動の流れ;原水爆禁止運動とカトリック教界;カトリック地域共同体の変容;ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の来訪;カトリック教界への波紋)
著者等紹介
四條知恵[シジョウチエ]
広島県広島市生まれ。早稲田大学第一文学部史学科卒業。財団法人広島平和文化センター広島平和記念資料館学芸員として勤務。九州大学大学院比較社会文化学府博士課程修了。博士(比較社会文化)。現在、長崎大学核兵器廃絶研究センター客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitam
2
原爆はなぜ長崎に落とされた?原爆を語るとき、人はその問いに答えを求める。アーサー・ダントが言ったように、歴史とは物語を語ることだからだ。長崎では永井隆医師の「燔祭説」が有名だ。「死を無駄にしない」というのが遺されたもののモチベーションになるというのは普遍的で、浦上のカトリックコミュニティにとってもそうだった。ただ、無駄にしないために「なにをするか」は立場によって変わる。永井の燔祭説は「日本のために犠牲になった」という言い方で、観光による復興を目指す当時の公的機関や報道にも援用されていく。2019/06/08
NZR
1
偶々ジェイ・ルービンの「日々の光」を読み終えた後に読みだした(登場人物が「長崎の鐘」に共感しつつも、燔祭説には憤る)ので、興味深く読み進めた。燔祭説が教義的なものというより浦上という特別な地域で育まれたもので、やがて教皇の「戦争は人間の仕業」へと語りが変容する過程の実証研究。2016/01/15
SK
0
170*長崎旅行の予習。永井隆の燔祭説と、ローマ教皇の訪問から、浦上の原爆についての語りが、いかに変容したか。2017/06/10
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