出版社内容情報
柴田 寿子[シバタ トシコ]
著・文・その他
内容説明
「異端」が描いた来たるべき自由。思想史に異彩を放つスピノザ思想の政治的側面。1960年代以降のスピノザ研究を批判的に吸収しつつ、民主政のオルタナティブを提示する試み。
目次
第1章 スピノザと社会契約論―大衆の力の構成としての社会契約論
第2章 スピノザとフランス啓蒙思想―異端の「抑圧」と「復活」
第3章 スピノザとネーデルランドにおけるシヴィック・ヒューマニズム
第4章 政治神学の眼―権力生成の現場へ
第5章 スピノザ主義者は「自由主義」の何を批判するか―「自由な自己」のアイデンティティと社会的権力
第6章 デモクラシーのもうひとつの可能性―スピノザ的国家における差異と同等性
著者等紹介
柴田寿子[シバタトシコ]
1955年長野県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得。東京大学大学院総合文化研究科(国際社会科学専攻)教授、学術博士。2009年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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左手爆弾
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自由を求めて自由主義を選択したはずが、自由主義のシステム自体が不自由を生産する可能性を秘めている。2011/05/13
フクロウ
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事実としては(存在論上は)各人は違うのに、それを存在論上同じだと言ったり(事実誤認)、存在論上同じではないが同じだとみなすべきだと言ったり(法的擬制)すると、まっとうな議論にならない。近代の主要パラダイムたる社会契約論とシヴィックヒューマニズムの結合体にはこの誤謬がある。従って、存在論上の個々人の差異性をそのまま承認し、その上で共同生活、政治的基盤を作出する方途を探る……まではスピノザの構想の大枠がわかった。しかし、具体的にどうするんだ……?2020/11/02