出版社内容情報
〔アメリカ民俗学100年目の省察から〕民俗学の成立と近代国家の形成、ナショナリズム、ロマン主義との密接な関連を論じ、民俗学の果たしてきた政治的・歴史的意味を考察する。
内容説明
民俗学の成立と近代国家の形成、ナショナリズム、ロマン主義。民俗学の思想的基盤を再考し、民俗学や民俗学者の果たしてきた政治的・歴史的意味を考察しようとするアメリカ民俗学のリフレクシヴな動きを紹介。
目次
1 ウィリアム・ウェルズ・ニューエルと一九世紀後期アメリカにおける民俗の発見
2 アメリカにおける文化の政治性とコミュニティ―一八八八年から一九八八年を中心に
3 本物の伝統、偽物の伝統
4 ヘルダー、民族学、ロマン主義的ナショナリズム
5 民俗学、イデオロギー、近代ギリシアの創造
6 アメリカの民俗学研究と社会的変容―パフォーマンスを中心としたパースペクティヴ
7 誤りの二元論
感想・レビュー
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てれまこし
2
表象の危機において、民俗学もまた批判にさらされた。何を民俗とするかは自然ではなく、それを構成する主体がある。その主体とは切り詰められた理性などではなく、社会的存在でもある。要するに民俗を実体とみる自然主義が批判されたのであるが、妙なことにその起源としてヘルダーのロマン主義が据えられている。ロマン主義は元来啓蒙的自然主義の批判として出て来たはずだ。それがいつの間にか自然主義に取り込まれた。民俗学者が自らが中立の観察者としつつ、民俗の定義を左右する権威を行使するためには、ロマン主義をまた自然に戻す必要あった?2019/07/26
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