感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
パリ中心の前巻からシカゴを拠点を移す本書では、完全性に向かう西洋の進歩的歴史でなく、ゲーテやユングがしたような全体性から世界を捉える著者の態度が前景化し、アジア、アフリカ、オセアニアの儀式や神話の記述も多くなる。著者には戦後の平和主義者も楽園への郷愁を俗化して語るかに見える。宇宙開発競争の時代、人間中心の歴史から統計中心の「蟻」の時代に移ると予想する中で、その記述に世界を精神のネットワークと捉えたエラノス会議の重鎮「ヘンリー・コービン」(イスラム神秘主義研究者アンリ・コルバン)の名が頻出する点も興味深い。2021/08/03
うえ
0
日記文学の最高峰。「バンツー族、インドネシア人等の哲学者は問わざるを得ないだろう、どうして西欧人は一政治的亡命者の作品、神曲の美や永遠の価値について何千巻もの書を書けたのに、われわれの神話のうちに、抑圧された民族の抗議しか見ることが出来なかったのかと」読むと何時でも過去に戻ることができる。2013/05/05
-
- 和書
- 日本の新規公開市場