出版社内容情報
〔旅と思索と人〕1945年から1959年までの日記抄。宗教学の分野にユングをとり入れ、心理学的･文化人類学的方法を用いて人間の心に切り込むエリアーデの様々な出会いと旅と思想。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
戦時下の『ポルトガル日記』以後(1946-1969)の日記を収めた本書の前半を扱う本巻は、著者の一環した考え方が多方面に見え隠れする。人格的・実存的様相にしか興味を示さないシオランとの会話で、神話的祖型のような「客観的様相」に確信を抱く場面、ユングの錬金術に関する書物に自分と同じ考えを見つけて感嘆する場面、ヘーゲルの歴史への参入という人間中心の近代の歴史観に対して、古代の大いなる時間を含む宇宙観をもって格闘する場面などがある。神話が失われた近代の歴史に対して、著者は反復する物語の必要を痛感し、小説を書く。2021/08/02
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