出版社内容情報
混迷する国際情勢にあって、難民・国内避難民は最大規模へと拡大し、強制移動に関する世界的な関心が高まっている。本書は、20世紀に起きた現象の分析から、諸国家による統治・政策の論理を抽出し、世界史的視野で強制移動を捉える。とりわけ、後発的な諸帝国のフロンティアとして位置づけられた地域に居住する先住民や、人種的・言語的・宗教的マイノリティに強いられた強制移動政策と難民に関連する政策・諸現象に着目して分析を行う。現代へとつながる強制移動の問題を、世界史的視野で総合的に考察した初めての歴史研究。
【目次】
序 章 二〇世紀の強制移動と帝国主義的統治の展開(山本明代)
1 現代の強制移動の諸形態
2 長い二〇世紀と初期近代の強制移動
3 帝国主義的統治と強制移動
4 入植者植民地主義
5 帝国主義時代の強制移動
6 戦争と強制移動
7 強制移動史研究の先行研究と現状
8 本書の構成
第Ⅰ部 アメリカと太平洋地域
第1章 フィリピン・アメリカ戦争にみる帝国と感染症(千葉芳広)
1 フィリピン・アメリカ戦争における人種主義と感染症
2 スペイン統治下の経済開発とマラリア
3 フィリピン・アメリカ戦争と公衆衛生
4 フィリピン人とアメリカ兵の健康
5 支配のための公衆衛生と戦争の忘却
第2章 グアムの米軍基地建設と先住民チャモル(長島怜央)
1 アメリカ軍事主義と強制移動
2 アジア・太平洋戦争中の日本軍による強制移動
3 米軍基地建設と強制移転
4 軍事植民地における強制移動
第Ⅱ部 ヨーロッパとオスマン帝国
第3章 バルカン戦争期のムスリム帰還問題(米岡大輔)
1 現代への起点としてのバルカン戦争
2 揺れ動くボスニア
3 移民が難民に変わるとき
4 帰還の結末
第4章 セルビア統治下コソヴォのアルバニア人の排除(百瀬亮司)
1 世界史の中のコソヴォ問題
2 近代におけるコソヴォ問題の萌芽
3 バルカン戦争と反アルバニア言説の形成
4 戦間期ユーゴスラヴィアの植民政策
5 コソヴォにおける強制移住とヨーロッパの過去と未来
第Ⅲ部 ヨーロッパとアフリカ
第5章 プロイセン領ポーランドとドイツ領南西アフリカ(割田聖史)
1 プロイセン領ポーランドと「長い二〇世紀」の始まり
2 プロイセン東部諸州と労働力の移動
3 ドイツ領南西アフリカへのドイツ人植民
4 内国植民の制度化と「土地収用法」
5 植民委員会の活動と入植者たち
第6章 東ドイツとナミビアの子ども難民(柴田暖子)
1 難民と子ども
2 ナミビア独立への歩み
3 東ドイツとSWAPOとの関係
4 東ドイツにおけるナミビアの子ども難民への教育
5 ナミビアの独立と子ども難民の帰郷
6 子どもの難民に関する問題
第Ⅳ部 アジアとヨーロッパ
第7章 ソ連への女性たちの強制連行と収容(山本明代)
1 戦争と強制移動の中の女性たち
2 ソ連軍による占領
3 矯正労働収容所と戦争捕虜収容所への連行
4 捕虜収容所での労働と生活
5 帰還とその後
第8章 大日本帝国の崩壊と東アジアにおけ



