出版社内容情報
本書では「家族」と「ジェンダー」をテーマに、日本社会学史を三つの視点から再検討する。第一に、戦前・戦後を通じて、研究者の業績を掘り起こし、とりわけ女性研究者の貢献に光を当てること。第二に、植民地支配や戦争、戦後の占領政策が家族社会学を含む日本社会学に与えた影響を見直し、学史の空白を埋めること。第三に、専門分野の枠を超えた学際的な知の交流の重要性を再評価すること。学問の源流をDNAの継承になぞらえ、多様な知の系譜が現在と未来へ受け継がれていく姿を描く。
【目次】
はしがき
第Ⅰ部 家族・ジェンダー研究の源流
第1章 日本の社会学100年史の中の家族とジェンダー(落合恵美子)
1 学会誌を通して見る日本の社会学100年史──家族とジェンダーを中心に
2 家族とジェンダーの社会学の源流をたどる
第2章 「あるべき家族」・「ある家族」・「あった家族」──日本の家族・ジェンダー研究の社会的背景(本多真隆)
1 日本の家族・ジェンダー研究は何をしてきたのか
2 「家庭」と家制度の時代
3 核家族と高度経済成長
4 家族と個人
5 日本の近代化がもたらした重層性/多様性に足場を探る
第Ⅱ部 家族か家か──近代日本のアイデンティティ
第3章 戸田貞三──「感情的融合」強調のライフヒストリー的背景と現代的意義(犬塚協太)
1 戸田家族論の世界同時代性
2 戸田家族論における「感情的融合」強調とその背景
3 戸田の家族生活経験と「感情的融合」の普遍化
4 いま戸田家族論にどう向き合うのか
コラム① 高群逸枝と女性史──ジェンダー研究へのインパクト(伊集院葉子)
第4章 瀬川清子──抵抗とノスタルジーの狭間での「女性」の発見(刀根卓代)
1 研究者以前の瀬川の個人史──研究関心の種子を抱えて
2 婚姻研究
3 瀬川70代後半で出会ったフェミニズムの潮流
4 「家父長制社会」という用語と「たくましき女たち」との乖離
附 論 学問がもつジェンダー性と研究者自身のジェンダー
コラム② 植民者たちの戦中戦後──外地引揚から日本研究への回帰(中生勝美)
第5章 有賀喜左衞門──労働力の移動から家を見る(奥井亜紗子)
1 有賀の社会を見る眼差し
2 「社会学者有賀」の基礎を形作ったもの
3 有賀理論の展開
4 上位者のモラル・下位者の主体性
5 有賀の議論の今日的可能性
コラム③ GHQの社会調査と家族研究(中生勝美)
第6章 小山?隆──戦前と戦後の家族社会学の転徹手(池岡義孝)
1 戦前の小山
2 学究生活への復帰
3 戦後家族社会学の確立
第Ⅲ部 経済成長と近代家族──繁栄とその揺らぎ
第7章 森岡清美──戦後日本の家族社会学研究をいかに先導したのか(?藤崎宏子)
1 プロフィール
2 1960年以前の「準備期」
3 アメリカ家族社会学からの学び
4 家族社会学セミナーの創始と継続
5 日本家族社会学会の創設と家族社会学研究のパラダイム・シフト
6 森岡が遺したもの
コラム④ 内藤莞爾──農村SSM調査から末子相続の研究へ(三浦典子)
第8章 速水 融──歴史人口学は
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