出版社内容情報
アメリカの環境思想家エイブラムが唱えた「モア・ザン・ヒューマン(人間以上)」を手掛かりに、文学や言語学、サウンドスケープ、社会学等の専門家が、環境について学際的に取り組んだ論考集。環境人文学とはいかなるものか、その概要を見渡せる地平に私たちを立たせてくれる。
【目次】
序 論 モア・ザン・ヒューマンのざわめき(結城正美)
1 環境に人間は含まれる(のか)
2 物語にみるWHYの触発
3 物語が感受性を活性化するとき
4 環境人文学の湧現
鼎 談 「環境人文学の冒険」(奥野克巳×管啓次郎×結城正美)
1 クモの造網のように
2 言葉を洗う
3 思考の脱中心化
4 感受性の再調整
5 逃走線としての協働
6 三大学院協働の環境人文学プログラム
第Ⅰ部 土地の記憶と物語
第1章 森と人間の物語――ウォルター・スコット『アイヴァンホー』再読(松井優子)
1 スコット受容の変遷
2 火山島への関心
3 複数の始まり
4 人間の登場
5 シャーウッドの二人の王
6 消えた森のゆくえ
第2章 池の畔に棲まう精霊たち――聴く力が紡ぐ土地の物語(鳥越けい子)
1 善福寺池とその畔
2 サウンドスケープから〈池の畔の遊歩音楽会〉へ
3 モア・ザン・ヒューマンの世界との交流
4 精霊たちとの出会い
5 結びにかえて
第3章 喪失の痛みと想像力/創造力――よそ者たちの〈故郷〉(西本あづさ)
1 はじめに――〈人新世〉の想像力の危機
2 資本主義と奴隷制,そして人種主義
3 奴隷制の余生(ザ・アフターライフ・オヴ・スレイヴァリー)と類縁性をめぐる問い
4 喪失の記憶とよそ者の痛み
5 故郷の想像,類縁の創造
6 結びにかえて――「人間(マン)」の境界と向う側のざわめき
第4章 異なるスケールを行き来する――日野啓三『夢の島』と沖縄の自然思想(佐藤 泉)
1 日野啓三の「焼跡」「向う側」
2 『夢の島』
3 植物論的転回
4 埋立地の歴史学
第Ⅱ部 惑星思考のほうへ
第5章 惑星の危機をどう生きるか――ゲーリー・スナイダーの再定住と惑星思考を読み直す(山里勝己)
1 スナイダーの環境思想の基盤――アメリカ北西部の自然環境
2 モダニズム,ビート,スナイダー
3 梃子を求めて
4 スナイダー初期の詩と人間観
5 融合される世界像
6 「場所の感覚」と「惑星の感覚」
7 「場所」とセトラーコロニアリズム
8 プラネタリー・エコロジカル・コスモポリタニズムとキットキットディジー
9 「惑星思考」はスナイダーから始まる
10 スナイダー,宮沢賢治,ウェンデル・ベリーの世界/惑星像
11 梃子とアンテナ
第6章 惑星思考のコンステレーション(清水美貴)
1 グローバルが惑星なるもの(プラネタリー)を露わにする
2 スナイダーの惑星思考をアップデートする
3 地



