出版社内容情報
国際連合はいかにして誕生したのか。本書では一次史料を詳細に検討し、第二次世界大戦の裏側で行われていた一連の外交交渉が、現在の戦後世界を成立させた極めて重要な「理念の対立」であったと分析する。1941年8月の大西洋憲章合意から、1946年1月の国際連合創設まで、およそ5年間の国際政治史においてどのような理念の対立があり、どのように収斂したのかは、国際安全保障のあり方を考える上でも多くの示唆に富む。
【目次】
序 章 戦後の平和はいかに構想されたか
第1章 「国際連合」の起源――大西洋憲章と英米関係、一九四一年
1 「戦争目的」と「戦後構想」
2 大西洋会談の開催
3 「大西洋憲章」とその後
第2章 「ユナイテッド・ネーションズ」への道――イギリス外交と「大同盟」の成立、一九四一―四二年
1 イギリスとソ連――戦争協力と戦後構想
2 イギリスとアメリカ
3 「連合国宣言」の成立
4 「ユナイテッド・ネーションズ」の誕生
第3章 国連構想と地域主義――グラッドウィン・ジェブと大国間協調の精神、一九四二―四三年
1 世界機構創設へ向けて――「四大国構想」の起源
2 「四大国構想」の形成――ジェブ・メモランダムと大国間協調
3 「四大国構想」と「欧州評議会」
4 「国連構想」としてのイギリスの戦略
5 複数の「国連構想」
第4章 国際連合創設への設計図――チャールズ・ウェブスターと世界秩序の構想、一九四二年―四三年
1 オクスフォードからロンドンへ
2 外交史家としての矜持
3 イギリス政府の国連機構構想
4 外交官と外交史家の共同作業
第5章 モスクワ四国宣言と英米関係――国際機構化へのイギリス外交、一九四三年
1 ケベック英米首脳会議
2 モスクワ外相会議と「四国宣言」
3 大国間協調としての「四国宣言」
第6章 ダンバートン・オークス会議への道――国連憲章の起源、一九四三年―四四年
1 モスクワからテヘランへ
2 ダンバートン・オークス会議へ向けて
3 ダンバートン・オークス会議の開幕
4 「大国間の同盟」と「連盟の論理」の間
第7章 サンフランシスコ会議と国連憲章――国連創設への大国間政治、一九四五年
1 地域機構をめぐる国際関係
2 サンフランシスコ会議の開幕
3 大国主義的な国連憲章
終 章 国際連合の成立
あとがき
参考文献一覧
事項索引
人名索引



