出版社内容情報
本書は、ソーシャル・キャピタルの醸成という側面から福祉政策を補強し、包摂社会への転換を図るきっかけを議論する。計量分析を用いてヒト、モノ、カネを取り巻くソーシャル・キャピタルの概念によって貧困からの脱却や災害からの復興などの問題解決への活路を見出す試み。
【目次】
序 章 ソーシャル・キャピタルによる分断社会から包摂社会への転換(石田成則)
1 新たな都市社会政策の展望
2 各章の内容紹介
第1章 地域福祉サービスの分権的多元主義とソーシャル・キャピタル(石田成則)
1 地域福祉政策を取り巻く環境
2 都市社会政策に果たす地域社会の互助の役割
3 地域福祉における人的サービスの動向
4 社会的企業としての協同組合組織
5 地域包括ケアにおける民間組織・団体の役割
6 協同組合組織の地域福祉における活動内容
7 社会的企業としての協同組合組織への期待
第2章 社会的包摂に向けた伴走型支援とソーシャル・キャピタル(八重島崇宏)
1 伴走型支援の背景
2 生活困窮化と伴走型支援の動向
3 大阪府豊中市くらし支援課へのヒアリング調査
4 伴走型支援のあり方
第3章 新たな都市混合政策とソーシャル・キャピタル(石田成則)
1 都市社会政策の新たな展開
2 社会的包摂の概念と関連する政策
3 社会的包摂の具体策としてのホームレス対策
4 大阪西成区あいりん地域における具体策
5 これからの政策の方向性
第4章 在留外国人への社会的包摂策とソーシャル・キャピタル(佐藤淳子)
1 日本における在留外国人の状況
2 在留外国人が抱える課題
3 課題の軽減に必要な要素とは何か
4 事例紹介「支えられる側から支える側へ」――外国人機能別消防団員の取り組みから
5 草津市の特徴と取り組みの意義
6 すでにある資源の継続的な利活用への期待
第5章 空き家問題とソーシャル・キャピタル(時野(春名)真由美)
1 空き家が問題となる背景と要因
2 空き家問題の現状と対策
3 ソーシャル・キャピタルの先行研究
4 事例からの分析と考察
5 空き家問題解決に向けた課題と展望
第6章 大規模自然災害からの復興とソーシャル・キャピタル(石田成則)
1 わが国における自然災害の影響
2 災害弱者を取り巻く状況
3 広域災害や激甚災害における援助対策
4 災害弱者救助のための具体策
5 災害救助とソーシャル・キャピタルの関係性
6 分析結果と住民互助のための提案
7 政策提言とこれからの課題
第7章 社会的孤立としてのひきこもりとソーシャル・キャピタル(八重島崇宏)
1 社会的孤立の背景
2 社会的孤立に関する先行研究
3 子ども・若者の意識と生活に関する調査
4 比較分析の結果
5 ひきこもりの実態と支援体制の課題
第8章 貧困の軽減のための金融包摂――マイクロクレジット(小野佳彦)
1 地域社会に根差したマイクロフ