出版社内容情報
福沢諭吉は、江戸時代までの身分秩序を破壊しながら明治時代以降の新秩序を創造しようとした思想家である。福沢が目指したのは西洋の政治・ 経済・教育・道徳思想に基づく近代国家の創造であったが、同時に旧秩序において歴史的に構築されてきたものをも積極的に生かそうとした。特に武士たちが保持してきた「瘠我慢」の精神や公共精神は欠かすことのできない要素であった。本書は、こうした福沢の思想や理論の構築と展開の過程を踏まえた上で、大名華族をはじめとする門下生たちがいかなる社会的実践を試みたのかを紹介し、日本近代化の思想的起源と実践の過程を描写していく。
内容説明
「躬行実践以て全社会の先導者たらん」慶應義塾の師弟が歩んだ道。
目次
「破壊」と「創造」の理論と実践
第1部 福沢諭吉の思想・理論形成(身分秩序の解体を目指して―幕末体験・維新史観・朝鮮近代化;天皇への権威・権力集中批判―「神政府」からの脱却;政治と精神の近代化―ジョン・S・ミル『代議制統治論』から;「瘠我慢」の保存と人脈の形成―西郷隆盛と勝海舟との関係をめぐって;伝染病研究の支援と世論の嚮導―後藤新平との協力)
第2部 門下生たちへの期待と実践(慶應義塾に学んだ殿様たち―廃藩置県後の新たな人生に向かって;旧福岡藩主家当主・黒田長成の教育実践;旧長岡藩主家当主・牧野忠篤の実業実践;旧掛川藩主・太田資美の寄附と外国人教師採用;旧延岡藩主家家老・原時行への期待;池田成彬のハーバード大学留学とアメリカ理解)
福沢と門下生が遺したもの
著者等紹介
小川原正道[オガワラマサミチ]
1976年長野県生まれ。現在、慶應義塾大学法学部教授。専門は日本政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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