出版社内容情報
弘前大学で藍の研究をしていた理学博士・北原晴男は2008年、大動脈解離で倒れた数日後、重度の脳梗塞を発症した。しかし、16年が経過した今、新聞を毎日読み、TV番組を録画し、車椅子を使いながらも外食を楽しむ。医師が「奇跡」と驚嘆する現在は、どのように訪れたのか――。
夫が不自由な体で動く時、ふとした動作に遠慮なく笑い声が起きるのも「家族ならでは」。多くの困難を乗り越えた学者夫婦の、元気がもらえる回復記。
内容説明
「え?パパ、今、ありがとうって言った?」全失語という診断でも、諦めず前を向く夫。歴史研究者の妻が綴った、カルテには残っていない家族の記録。
目次
プロローグ
第1章 ある日突然、夫が倒れた―胸部大動脈解離から心原性脳梗塞を併発
第2章 弘前大学医学部附属病院での日々
第3章 後遺症とのお付き合いが始まった―リハビリ病院へ転院
第4章 築いた世界と行きつ戻りつ
第5章 在宅での生活
第6章 家族それぞれの人生との交差
第7章 そして今―日々の生活はバリア・アリー
第8章 外食を楽しむ・旅に出る・趣味を持つ
エピローグ―船は良い港に着くもの
著者等紹介
北原かな子[キタハラカナコ]
1959年生まれ。現在、青森中央学院大学看護学部教授、(株)北原研究所専務取締役(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かやは
8
弘前大学の研究員だった夫は、発症の結果、半身不随となった。 仕事熱心であり、とにかく良くなりたいという本人の強い思いが 著者である妻にあきらめない心を支えたんだろうと感じた。 正直、超人的なお二人のパワーに圧倒されるという感じで、 学びになるというより、すごいものを見させてもらっという感情になった。 二人とも学があり、元々仕事も充実しており、自分の人生をしっかり生きているという印象を受けた。 だからこそ、あきらめずにいられたんだろうと思う。2025/03/18
ともぞー
0
私の父は腹部大動脈解離で亡くなった。母は二度にわたる脳卒中による体の麻痺と言語の障害を乗り越えて、介護は受けているものの自力で食事も排泄もできるまでに回復した。北原晴男さんの場合は医師も回復をあきらめる状態からのスタートだったにもかかわらず、短期間にここまでの回復を成し遂げたお二人の、いや娘さんを含めたご家族の努力は、並大抵のものではなかっただろう。家族ならではの強い意志を痛感するとともに、当時の記憶が浮かんできて、思わず涙ぐんでしまった。2025/05/13