出版社内容情報
現在、日本の介護は、少子高齢化等の要因による担い手不足などの深刻な問題が山積し、政府はIT技術と外国人介護職員の導入など新たなサービス提供体制の構築に向けて対応を進めつつあり、「介護福祉の質」の確保が急務となっている。そして、介護福祉学には、この「新たな」課題に応えなければならない責務がある。この点に鑑み、本書では、1993年の創設後、実践の経験知を蓄積しつつ介護福祉の専門性に関する知見の確立を目指してきた日本介護福祉学会の今までの研究成果を整理し、且つ科学的根拠のあるデータを用い課題を分析する事で、具体的な解決策の提示を試みている。介護福祉学の到達点を明らかにするとともに、介護福祉の将来像を展望した一冊。
【目次】
まえがき
第1章 理論・制度・歴史
1 介護福祉学の理論のあゆみと到達点
2 介護福祉学の現状と課題――学会誌『介護福祉学』論壇「介護福祉学の構築に向けて」を通した検討
3 介護福祉学と「自立支援」理念のあゆみと展望
4 社会参加を支援する介護福祉実践の展望
第2章 介護運営管理
1 介護保険が変えた介護運営管理――契約制度は措置制度を超えたか
2 地域介護のサービスと担い手の確保
3 職員の就労継続を図る介護運営管理
4 高齢者施設とコミュニティ意識――パンデミックを乗り越えて
第3章 高齢者・障害児者への介護
1 高齢者・障害児者への介護の理念と変遷
2 障害者の就労支援と介護福祉職への期待
3 障害のある人の高齢化と介護
4 認知症の介護
第4章 家族介護・在宅介護への支援
1 家族介護・在宅介護の支援施策は充実してきたか
2 なぜ家族介護者への支援が必要なのか
3 家族介護者への支援
4 今後の家族介護施策に求められること
第5章 生活支援技術
1 介護福祉職として考える生活支援技術
2 生活支援技術に求められるもの
3 生活支援技術とICT
4 生活支援技術と介護過程の展開
第6章 介護福祉教育・人材育成
1 介護福祉士養成の現在地と養成カリキュラム再考への期待
2 外国人介護人材の受入れ状況と人材育成の課題
3 介護福祉職のキャリアデザインと人材育成の現状と展望
4 実践現場における人材育成――介護職チームのケアの質向上を基にした介護職の育成
第7章 災害・介護福祉
1 災害時における介護福祉の対応課題
2 災害対応と介護福祉施設
3 避難所での災害支援活動と介護福祉実践
4 地域と災害・介護福祉
あとがき
索 引