出版社内容情報
安部公房(1924年から1993年)作家
小説だけでなく戯曲、映画、放送の世界から劇団の主宰に至るまで活躍し、ノーベル文学賞候補として世界的な評価も高い安部公房。本書は、公私に及ぶ行動を仔細に追い、周囲との影響関係をどう作品へ結実し、またその痕跡をどう消し去ったかをたどる第一人者による決定版評伝。
内容説明
安部公房(一九二四~一九九三)作家。小説だけでなく戯曲、映画、放送の世界から劇団の主宰に至るまで活躍し、ノーベル文学賞候補として世界的な評価も高い安部公房。本書は、公私に及ぶ行動を仔細に追い、周囲との影響関係をどう作品へ結実し、またその痕跡をどう消し去ったかをたどる第一人者による決定版評伝。
目次
第1章 小説家になるまで(家系と生い立ち;詩人から小説家へ)
第2章 芸術・政治運動から大衆へ(芸術運動と政治運動;サークルから大衆へ)
第3章 メディアを横断する活動(安保闘争と死者の変貌;「練り直し」の中での「記録」の追求;“転向”と初期作品の書き換え;一九七〇年代への助走)
第4章 安部公房スタジオの時代(万博から西武へ;第一期安部公房スタジオ;第二期安部公房スタジオ)
第5章 隠棲とワープロ(箱根を拠点とした活躍;闘病から「私小説」へ)
著者等紹介
鳥羽耕史[トバコウジ]
1968年東京都生まれ。現在、早稲田大学文学学術院教授。専攻:日本近代文学、戦後文化運動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
164
図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。安部公房は、知っていますが、前衛的な小説を書く作家のイメージでした。安部公房が、マルチメディアで活躍していたり、カーマニアだったり、いち早くワープロで執筆したり等、大分イメージが変わりました。機会を見つけて、安部公房作品を読んでみたいと思います。https://www.minervashobo.co.jp/book/b647558.html2024/08/12
パトラッシュ
120
安部公房については愛人と娘が本を書いているが、それぞれの立場から見た体験記・印象記の性格が強かった。没後30年余で初めての文学研究者による伝記とは意外だが、小説から演劇、放送に写真まで幅広い活動全てに行き届いた調査研究ができるのに時間が必要だったか。壮絶な引き揚げ体験から作家としての活躍、共産党員でありながら車やファッションを好み、平気で俗っぽいこともするオヤジ的側面など、やりたいように生きながら妙に不安定でフラフラする姿が描き出されている。やはり文学を書いた人の生き様は、消しゴムで消すのは不可能なのだ。2024/08/29
モトラッド
32
★★★★筆者あとがきが、2024年5月1日、初版第1刷発行日付が同年7月10日。刊行されたばかりの本書を手にできた事に感謝したい。よくぞここまで調べ上げたと感嘆する内容。参考文献の多さにも驚きました。安部氏ご自身との出会いは高校生の時、母校に講演にいらした際、間近にご尊顔を拝しました。それ以来ファンになったのですが、本書を読むと、いくつもの演劇などを拝見できた機会を、みすみす逃していて、今更ながら歯がゆい思いです。昨今は、ネットにいくつか残る対談の映像にて、在りし日の言葉に聴き入ってます。ファン必読です。2024/10/05
Go Extreme
3
消しゴムの痕跡から 小説家になるまで: 家系と生い立ち 詩人から小説家へ 成城高校時代 奉天へ 芸術・政治運動から大衆へ: 芸術運動と政治運動 日本共産党批判 サークルから大衆へ 四国旅行と調布への転移 メディアを横断する活動: 安保闘争と死者の変貌 練り直しの中での記録の追求 転向と初期作品の書き換え 1970年代への助走 桐朋学園大学の教授に 大江健三郎との断交 安部公房スタジオの時代: 万博から西武へ 安部公房スタジオ 隠棲とワープロ 箱根を拠点とした活躍 闘病から「私小説」へ 私生活と進行する病状2024/08/14