出版社内容情報
幕末福井の老舗の跡継ぎとして生まれるも、父母の情愛に恵まれず隠棲。上代の息吹を慕い、学問と歌作に明け暮れた。身分の別なく広く門人をとり、松平春嶽をはじめ多数の後援者にも恵まれた一方、中央の歌壇には交わらず生涯清貧のまま市井で活動した。現在も人々に愛される「生得のうたびと」の一生を描き、『志濃夫廼歌集』より一〇〇首、「独楽吟」五二首の註釈を収録した決定版。
内容説明
幕末の福井が生んだ永遠の歌人。上代の息吹を慕い歌作に尽くした生涯
目次
第1部 橘曙覧の生涯(生誕と家系・家族;幼・少・青年期;足羽山時代;藁屋時代;最期と没後;橘曙覧の学問と文事;曙覧の和歌作品と評価;曙覧をめぐる人々)
第2部 橘曙覧の詠歌
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ohe Hiroyuki
2
幕末の福井に生き、「独楽吟」(どくらくぎん)等今に残る名歌を残した歌人の評伝である▼後半に歌集が抄録されている。評伝とあるが、本書は資料集の様相もある▼橘曉覧は、正岡子規によって見出された。正岡子規の歌論は切れ味がよい。ただ、本書を読むと生前から地元福井藩の多くの人に慕われていたことがよく分かる▼彼の歌が、近代を生き抜く人々に取っても心のよすがになっていたようであり、本書を読むと、その魅力の一端が分かる。▼日々生きる私たちにとって、橘曉覧の素朴な心情が表われた「歌」は、私たちを豊かにするものと思われた。2025/06/22