出版社内容情報
本書では5つの部を設けて、映画の〈内〉と〈外〉をめぐる論点を探究する。第?部から第?部では、映画に内在する「構造」と「語り」の問題をはじめ、「ジャンル」という映画を横断するテーマを探り、また「サスペンス」と「音」をめぐる論点を掘り下げる。また、第?部と第?部では隣接領域としての歴史や文学との邂逅のほか、産業としての映画の足跡を追う。終章では、映画史記述という映画史の根源的問題を取り扱う。
内容説明
映画が有するネットワークから生じる“内”と“外”をめぐる論点とは何か。映画の内部あるいは映画間の諸問題をはじめ、歴史や文学との邂逅、産業としての映画の足跡を追う。
目次
第1部 映画の“内”をめぐって(1)―「構造」と「語り」へのアプローチ(“マルチプロタゴニスト映画”または群像劇映画にみるナラティヴ構造の歴史と理論―グリフィス、『グランド・ホテル』、そして「インディーズ」;政府と映画の密なる関係―英国、フィルム・タグの主題と語りの特徴について)
第2部 映画の“内”をめぐって(2)―映画史が問うジャンルの歴史と現在(第二次世界大戦戦闘映画『特攻大作戦』と西部劇『ワイルド・アパッチ』―ヴェトナム戦争中のロバート・アルドリッチ;「黒の恐怖」を奪回せよ―黒人ホラー映画史における創造的プロセスをめぐって ほか)
第3部 映画の“内”をめぐって(3)―「サスペンス」と「音」が問いかけたもの(クロスカッティングによる観客参加―ヒッチコック映画における「追いかけのサスペンス」を再考する;ジャック・タチ映画の音響表現の特異性―台詞の優位性に対する“挑戦”)
第4部 映画の“外”をめぐって(1)―歴史・文学と映画との邂逅(失われた祖国、彷徨う自己―1920年代のフランスにおける亡命ロシア人映画;『オズの魔法使』と封じ込めの戦略―アダプテーション研究の可能性)
第5部 映画の“外”をめぐって(2)―産業としての映画の足跡(東京国際映画祭の誕生とその変遷に関する考察―「映画祭とは何か」という問いをめぐって;映画量産時代への序奏―戦後日本の大手映画会社の興行支配と独占禁止法違反をめぐる問題 ほか)
著者等紹介
加藤幹郎[カトウミキロウ]
1957年長崎市生まれ。筑波大学大学院文芸・言語研究科博士課程単位取得満期退学。京都大学博士。ミシガン大学客員教授、カリフォルニア大学バークリー校、カリフォルニア大学ロサンジェルス校、ニューヨーク大学、ハワイ大学マノア校フルブライト客員研究員、京都大学大学院人間・環境学研究科教授、日本映画学会会長などを歴任。映画批評家・映画学者。2020年9月26日没。『映画とは何か』(みすず書房、2001年、吉田秀和賞)などがある
杉野健太郎[スギノケンタロウ]
1961年岐阜県生まれ。上智大学文学部哲学科および英文学科卒業、1989年上智大学大学院博士前期課程修了(英米文学専攻)。1989年駒澤大学苫小牧短期大学専任講師、広島大学総合科学部助教授、ウィスコンシン大学マディソン校英文学科客員研究員、カリフォルニア大学バークリー校英文学科客員研究員、日本映画学会会長などを歴任。現在、信州大学人文学部教授。アメリカ文学・文化、映画学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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