内容説明
本書は、ドイツ連邦共和国の歴史を再検討し、その新たな一側面を照射する。著者は外交史を専門とし、冷戦や欧州統合に直面した戦後ドイツの葛藤、苦悶を、世界やヨーロッパという視点から見直すとともに、文学や映画、歴史政策など、文化史的な現象にも言及する。ドイツ人ならではの、日本人では絶対に思いつかない視点で描かれた、コンパクトなドイツ現代史の通史。
目次
第1章 新たな出発と復興―一九四五~五八年
第2章 改革と反乱―一九五八~七三年
第3章 脅かされる安全―一九七三~八五年
第4章 転換と固執―一九八五~九九年
第5章 ベルリン共和国への出発―一九九九~二〇〇八年
第6章 グローバル化とその限界―二〇〇八~二一年
著者等紹介
進藤修一[シンドウシュウイチ]
1965年 生まれ。現在、大阪大学大学院人文学研究科教授
爲政雅代[タメマサマサヨ]
1970年生まれ。現在、同志社大学・同志社女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
9
本書の特徴は二つある。一つ目。ヒトラーを生み出した反省から、戦後ドイツ(西ドイツ)は首相の権限を強化、安定した長期政権が可能となった。よって、従来日本人がドイツ現代史を描く場合は歴代政権で区切るのが主流だった。が、本書は社会学的考察(各時代の空気観や精神性)でアプローチする。もう一つ。奇跡の復興から東西統一へと、戦後ドイツ史は「成功の歴史」と言われてきた。だが、近年ドイツが直面したユーロ危機、難民問題、ウクライナ問題等を反映して、疑義が呈されている。本著者もその立ち位置から再考している。2023/06/15
お抹茶
3
戦後ドイツ・旧西ドイツの歴代政権の特徴をコンパクトに叙述する。歴史の転換点は数あれど,比較的淡々と記載する。訳者によれば,日本では注目されないシュミットを大いに評価しているとあるが,特段各首相への好悪が目立つことはない。コールが統一宰相の栄光を手にしたことで,1990年代に予期されていた政権交代の見通しは立たなくなった。シュレーダーのSPDと緑の党の連立は旧西ドイツからの取り組みで,実現が十年遅かったと表現。メルケルはCDU/CSUの保守的な方針を骨抜きにした政策をショルツ政権に引き継いだ。2023/07/24
たろーたん
1
日本人には人気のメルケルは、15年かけてドイツキリスト教民主同盟(CDU)の党首、そして連邦首相へと登りつめた。東西ドイツ統合を契機に35歳で研究者から政治家へ転身したメルケルには、政治家としてのキャリアを積むためのものが殆ど欠けていた。具体的には、党内基盤や人間関係、地元組織のバックアップ、政治家世界の仕来りの熟知、自陣営の基本的政治理念への勘所、演説力だ。しかし、ライバルの弱点を鋭く見抜く力や自分がどう出世でいるかを冷静に計算する力、賭けに成功するタイミングを見極める嗅覚は良かったそうで、(続)2023/11/12
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