出版社内容情報
大村益次郎(1825年から69年)幕末・維新期の軍事官僚、洋学者、医師。
その時代、知識人が扱う学問領域は、専門が細分化した今とは比較にならないほど広範囲に及んでいた。維新動乱期の「軍功」や明治建軍の「制度設計」にとどまらない多様な業績を検証し、近代的学知の実践者としての生涯に迫る。
内容説明
大村益次郎(一八二五~六九)幕末・維新期の軍事官僚、洋学者、医師。その時代、知識人が扱う学問領域は、専門が細分化した今とは比較にならないほど広範囲に及んでいた。維新動乱期の「軍功」や明治建軍の「制度設計」にとどまらない多様な業績を検証し、近代的学知の実践者としての生涯に迫る。
目次
第1章 一意専心の修学時代
第2章 努力と立身
第3章 江戸での栄達
第4章 長州藩出仕
第5章 長州藩の軍制改革
第6章 四境戦争
第7章 戊辰戦争
第8章 明治建軍
第9章 終焉の地
第10章 益次郎のエートス
著者等紹介
竹本知行[タケモトトモユキ]
1972年山口県生まれ。同志社大学大学院法学研究科満期退学。博士(政治学)。同志社大学法学部助教などを経て、安田女子大学准教授。2007年、「大村益次郎の建軍構想―『一新之名義』と仏式兵制との関連を中心に―」『軍事史学』(第42巻第1号、2006年6月)で、阿南・高橋賞受賞(軍事史学会)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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叛逆のくりぃむ
9
『花神』の主人公でもあり日本陸軍の父でもある大村益次郎の伝記。小説では職人気質の合理主義者として描かれていた大村だが、政治青年として一廉の思考を蘭学を通じて形成し、必ずしも小説で描かれているような無愛想な面ばかりではないことが見てとれる。また家族仲も良好で、妻に対しても細やかな愛情を示す逸話が多かったのが興味深かった。2022/04/24
MUNEKAZ
8
大村益次郎の評伝。彼の遺した書状や手紙が多く引用されており、冗長さも多少感じるが家族に対する愛情や軍制改革における苦悩が良く伝わる。著者は最後に大村の学者としての相貌に触れ、激動の時代において知識人が果たした役割の典型をその生涯に見ている。医師を志した青年が、抜群の語学力から西洋の兵学を学び、新たな日本に相応しい国軍の建設を目指して道半ばで凶刃に倒れた。靖国の上野山を睨んだ銅像も、生誕地の本を片手に講義する銅像も、どちらも自らの学識を世の中に「役立てよう」とした学者・大村益次郎の両側面を表している。2025/01/08
takao
0
ふむ2025/06/21