出版社内容情報
ロシアは豊かな文学と芸術の国であり、日本にも昔からその熱烈な愛好者は多い。その反面、政治的に日本とは複雑な関係にあり、国家としては残念ながら暗いイメージが強く好感度は決して高くない。そのギャップを埋め、ロシア文化の豊かさを大学生や一般読者にもわかりやすく説明し、この国の文化の持つ魅力を引き出したい。
本書は厳選した55のキーワードを切り口にして、広大な土地と長い歴史を持つロシアで発展してきた文化の多様なあり方や日本人のロシアに対する関心のあり方に迫る入門・概説書。
内容説明
ロシア魂、宇宙、マースレニツァ、強制収容所、ソヴィエト・ロック、詩人、ロシア料理、ニコライ堂…謎と魅惑、目くるめく多彩な文化、広大なロシアを探るためのパスポート。
目次
第1章 ロシアは広すぎる
第2章 聖なるロシア
第3章 ロシア史の光と闇
第4章 花開くロシア芸術
第5章 何よりも大事な文学
第6章 日常生活
第7章 ロシアと日本の深い関係
著者等紹介
沼野充義[ヌマノミツヨシ]
東京大学名誉教授、名古屋外国語大学副学長
沼野恭子[ヌマノキョウコ]
東京外国語大学教授
平松潤奈[ヒラマツジュンナ]
金沢大学准教授
乗松亨平[ノリマツキョウヘイ]
東京大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あきあかね
20
地球の陸地の八分の一を占めるロシアという大国の特質、その歴史の光と闇、世界を魅了する芸術、食や住まいといった人びとの暮らし、日本とのつながりなど多様な切り口から、礼賛でも批判でもなくロシアの実情を浮かび上がらせる。 中でも、ロシア文学についての文章が興味深かった。舞台も登場人物も広大無辺なトルストイの『戦争と平和』とその対極にあるドストエフスキーの『罪と罰』のように対比されることが多い両者の共通性を見出す。「登場人物は定められたプロットのなかを動く操り人形ではなく、不確実な日常のなかで惑い、苦しみ、⇒ 2022/04/15
赤とんぼ
7
ロシアの信仰についての章が特に興味深かった。神智学が生まれたのも、なるほどと思える気がした。 もっと知りたいと思った時に、手掛かりとなる本。2021/10/19
てり
2
ロシアの文化面を様々なテーマで解説。なかなか見えにくいロシア人の生態に少し近づけた気がする。時世もあり日本からではなかなか親近感が湧きづらいが、知れば知るほど面白く、また興味深く感じる。もっとロシア人のことを知りたくなるということでは、この本はとても成功していると思う。2023/09/12
Като́н
2
ロシアは所謂Occident文明に憧れているんだけども、常に疎外され野蛮視されてきたので、もうお前ら知らん!俺らは社会主義にせよキリスト教にせよ西洋以上にそれらの価値観を体現しているんだ!と言う非常に複雑な心理を持ってきた。今はヨーロッパからユーラシア主義へとやや比重をずらしつつも依然としてこのコンプレックスの裏返しは根強い。2021/10/27
Kerberos
2
「ロシア魂、宇宙、強制収容所、詩人、ロシア料理…目くるめく多彩な文化、広大なロシアを探るためのパスポート」の宣伝文句に偽りはない。死滅を目指したはずの家族制度がスターリン体制下で一転強化された史実(22章・女性解放史)があるかと思えば、「詩とは日常言語に組織的に加えられた暴力」という詩的言語論(37章・詩人)が紹介されるなど全55章のキーワードは広大な分野をカバーしてロシアの国土さながらである。惜しいのはロシアの国土面積が「約一万七一〇〇平方キロ」という第1章の記述ミス。実際にはその千倍ある。2021/10/06