出版社内容情報
源 頼朝(1147年から99年)征夷大将軍・鎌倉幕府の創始者。
平治の乱に敗れ伊豆に流されるも一転、平氏打倒の挙兵後、鎌倉を本拠に勢力を伸ばした源頼朝。反乱軍として出発しつつもやがて天下を平定、武家政権の基礎を確立した、その足跡と人物像に迫る。
内容説明
征夷大将軍・鎌倉幕府の創始者。平治の乱に敗れ伊豆に流されるも一転、平氏打倒の挙兵後、鎌倉を本拠に勢力を伸ばした源頼朝。反乱軍として出発しつつもやがて天下を平定、武家政権の基礎を確立した、その足跡と人物像に迫る。
目次
序章 頼朝の遺産
第1章 河内源氏の繁栄と低迷―義朝以前
第2章 幼年期の頼朝と保元の乱
第3章 平治の乱と伊豆配流
第4章 流人頼朝の挙兵
第5章 頼朝率いる反乱軍の動向
第6章 流動化する内乱情勢の行方
第7章 頼朝の変貌と鎌倉幕府権力の展開
第8章 頼朝の政治と建久の「平和」
著者等紹介
川合康[カワイヤスシ]
1958年三重県生まれ。1987年神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位修得退学。現在、大阪大学大学院文学研究科教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
20
公武関係を重視する辺りなどは元木泰雄の頼朝伝(https://bookmeter.com/books/13392963 )と共通。一方、当然のことながら新書版の元木本より紙幅に余裕があり、例えば『平家物語』『吾妻鑑』を典拠とする情報の裏取りもきちんと行われている。ボリュームは大事だ。また、流人時代の頼朝の動静を詳しく追っている点が特徴。それまでの人脈のおかげで、都との関係も切れずに続いていたものらしい。結果論だが、頼朝の流刑地を伊豆に選定したのは平家の一大失策だった。2024/12/10
MUNEKAZ
17
源頼朝の評伝。河内源氏の成立から説き起こし、父・義朝の時点では、数ある武家源氏の中でも低迷した傍流に近い存在であったことを確認。またそれ故に頼朝は、各々の武家が朝廷や院に個別に奉仕する「京武者」の存在を解体し、すべての御家人が頼朝の下に集う新しい体制を目指したことを強調する。既存のシステムの中では主導権を握れない(逆に平家はその中で栄達したので「京武者」を残した)がため、内乱の中で着実に既成事実を積み上げ、幕府という新しい権力を生み出した頼朝の力量がよくわかる。第一人者による確かな内容で面白い。2021/06/30
ほうすう
14
頼朝が源氏の中心ではなくむしろ相対的には低い位置にいたことを頼義・義家・為義・義朝と河内源氏の歴史を踏まえて丁寧に描いている。 また清盛権力と頼朝権力の違いについて“頼朝自身が朝廷に対する「謀反人」であったために頼朝による敵方没収地の処分に朝廷が関与する余地ができなかった。既存の国家体制内で成長した平氏権力と、反乱軍として成長した頼朝権力の違いが存在する。”という記述はなるほどと思わされた。それにしても反乱軍権力を公的に認めさせるとはなんとも無茶苦茶な…。それだけ頼朝の政治力が高かったのだろうか。 2022/08/09
アメヲトコ
8
21年6月刊。頼朝の勝利を必然とせず、「源平合戦」という枠組みを相対化する評伝です。我々がいかに結果に拘束されて歴史を捉えてしまいがちかを自覚させてくれる一冊です。ただ一つ、清盛の遺言を脚色とする見解については、頼朝が池禅尼の嘆願でとくに助命された人物であったことを考えると、ここはとくに不思議でもないような気もしますが。2021/12/31
フランソワーズ
7
まだまだ”通説”の域を脱してないわたしにとっては、とても勉強になった頼朝本。特に興味深かった箇所は、源氏嫡流という共通認識への疑義、新領授与に見る平氏政権との違い、清盛とは異なる御家人統制の理由、奥州合戦の意義などです。2022/05/12