出版社内容情報
2018年度、「道徳」は教科となった。戦後初めてとなるこの試みは、道徳教育における学問的研究のより一層の充実を求めることになる。そもそも道徳とは、私たちはどうあるべきか、どう生きるべきかという問いへの回答であり、そこでは哲学・倫理学・歴史学・心理学といった多彩なアプローチが必要となる。そこで本書では、ひとつの学問領域にとどまらない、学際的な道徳教育学の「最前線」を提示していく。
内容説明
二〇一八年度、「道徳」は教科となった。戦後初めてとなるこの試みは、道徳教育における学問的研究のより一層の充実を求めることになる。そもそも道徳とは、私たちはどうあるべきか、どう生きるべきかという問いへの回答であり、そこでは哲学・倫理学・歴史学・心理学といった多彩なアプローチが必要となる。そこで本書では、ひとつの学問領域にとどまらない、学際的な道徳教育学の「最前線」を提示していく。
目次
道徳教育「論」から道徳教育「学」へ
第1部 歴史的視座(道徳における「近代」―丸山眞男と西周の結節点;教育勅語の戦前と戦後―教育勅語研究の現在と課題;明治後期における修身科の諸相―その教授法をめぐる課題の生起と対応;戦後道徳教育における宗教と「畏敬の念」―「宗教的情操」と日本人の宗教意識を手がかりに;オールド・リベラリストと道徳教育―田中耕太郎からの提言を中心に;道徳教育と人間像―「期待される人間像」の背景と思想;戦後教育と「特別の教科道徳」の成立―その歴史的意義と課題)
第2部 理論的視座(道徳性の概念と道徳教育―義務論と幸福論の類型をもとに;共和主義、シティズンシップ、道徳教育―「市民」には、なぜ、どのような、「徳」が必要なのか;道徳教育学における和辻倫理学―その可能性と問題点の検討;道徳教育の中の宗教―「宗教」概念の揺動と「京都学派」;進化論・脳科学と道徳教育―「自然の事実」に基づく道徳教育の可能性)
第3部 実践的視座(道徳教育における「授業」の役割―戦後道徳授業の模索と今後の課題;発達理論と道徳教育―道徳性の発達をふまえた内容項目の検討;「特別の教科道徳」の「評価」をめぐる課題―「評価」概念に対する再検討の必要性;戦後道徳教育における「読み物資料」―「読み物資料」による道徳授業スタイルの形成)