出版社内容情報
推古天皇(554年から628年)初の女性天皇
熾烈な継承争いを主導し、39歳で即位。36年におよぶ治世を通じて、仏法を軸とする国造りを推進し、王権自律化の一歩をすすめたが、その事績の多くは、これまで叔父蘇我馬子や甥厩戸の働きとされてきた。本書では、初の女帝の事績を捉え直すとともに、その実像に迫る。
内容説明
推古天皇(五五四~六二八)初の女性天皇。熾烈な継承争いを主導し、三九歳で即位。三六年におよぶ治世を通じて、仏法を軸とする国造りを推進し、王権自律化の一歩をすすめたが、その事績の多くは、これまで叔父蘇我馬子や甥厩戸の働きとされてきた。本書では、初の女帝の事績を捉え直すとともに、その実像に迫る。
目次
第1章 欽明と蘇我堅塩媛の子として
第2章 政争の化中へ
第3章 権力掌握
第4章 遣隋使と仏教
第5章 遺詔の重み
第6章 語りの中の推古
著者等紹介
義江明子[ヨシエアキコ]
1948年大阪府生まれ。1971年東京教育大学文学部史学科卒業。1979年東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、帝京大学名誉教授、文学博士。主著『日本古代の祭祀と女性』(吉川弘文館、1996年、第12回女性史青山なを賞)。『日本古代女帝論』(塙書房、2017年、第40回角川源義賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hyena_no_papa
4
やはり王家や蘇我氏の系譜多出で視線が漂流。もともと倭隋交渉の部分を読みたかったので、気にせず進む。推古16年、裴世清が朝廷に参上したシーンや、同18年の新羅・任那の使者を迎えたシーンの分析は冷静で一般の読者にも理解しやすいのでは。筆者作成の小墾田宮の構造図は有り難い配慮。巻末の参考文献も多数で、年次から分析すると平成以降のものが多数を占める。日本古代史の最新潮流の一つとして受け止めていいのかも知れない。巻末の「推古天皇略年譜」は有り難い配慮で、この時代に特に関心を持つ向きには必読にして必携と言えるかも。2021/04/18
isfahan
2
推古女帝を中継ぎの天皇としてではなく権力闘争を勝ち抜いた老練な政治家として捉える。中国初の女性皇帝である武則天に対してはその評価はいろいろあるにしろ、政治能力を疑ったり、中継ぎとか側近に支えられたみたいな話しをすることはないのだから、これは当然といえば当然の捉え方。フェミニスト批評のよう。2021/02/28
shig2010
1
双系的親族構造から読み解く推古天皇。推古天皇の事績だけでなく、王権が世襲化されていく過程、近親結婚の背景、聖徳太子(厩戸王)の実像、天皇号の成立過程などについてわかりやすく述べられている。2021/02/20
amanojyaku
1
読書開始日:令和3年1月4日。令和3年の初めに良書に出会えて嬉しい。30年前の私の中の古代史も塗り替えられた。あまり語られなかった推古天皇を真の日本国を確立する過渡期の天皇と位置づけ描いている。特に印象に残ったのが、蘇我系として生きてきた中で、馬子の要望を却下した天皇としての立場、そしてなにより自分の王統から次期天皇を出せなかった悲しみが胸にしみる。これからも何度も飛鳥を歩くだろうが、推古天皇を身近に感じながら旅しよう。2021/01/20