出版社内容情報
「八ヶ国の大将軍」、ここに見参… 小田原北条氏を継ぎし二代目の生涯を解明する。
目次
第1章 宗瑞から氏綱へ
第2章 北条名字改称と両上杉家への敵対
第3章 関東政界での孤立
第4章 今川家との決裂
第5章 古河公方足利家との一体化
第6章 生涯の集大成と死去
著者等紹介
黒田基樹[クロダモトキ]
1964年東京都生まれ。1995年駒澤大学大学院博士課程単位取得満期退学。博士(日本史学)。現在、駿河台大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
12
小田原北条氏2代・氏綱の評伝。歴代の中でも地味な印象の氏綱が、「北条」への改姓、領国の拡大、古河公方との一体化などの事績から、その後の小田原北条氏を規定した「真の創始者」とも呼べる存在であることを明らかにしている。個人的には死期に際して民を思いやる大切さを子・氏康に遺すのだが、それがあくまで戦争に勝つためであったり、自らとの盟約を蔑ろにした今川義元への断固たる姿勢から、「戦国大名かくあるべし」とも言いたくなるような雰囲気を感じたり。3代・氏康、5代・氏直の評伝も楽しみに待ってます。2020/06/24
フランソワーズ
4
著名な謙信や信玄といった好敵手が存在した氏康の時代とは一味違う、関東戦国史の世を勝ち抜いた氏綱。創業者伊勢宗瑞の後を受け、「他国の凶徒」という悪名を払拭し、前幕府の為政者「北条」への改姓を決行。さらに左京大夫に任官されることで伝統的「大名」と家格を並べただけでなく、古河公方の外戚となり、関東管領職に補任された氏綱。その道のりは決して平坦ではなく、周辺勢力からの度重なる外圧をはねのけて獲得した偉業と言えます。2021/09/06
アンパッサン
2
氏綱は打つ手が的確。妙手を打つというのではなく、必ず打っておかなければならない手を確実に打つ戦国大名。こんだけ周囲であばれる君(足利義明とか武田信虎とか扇ガ谷上杉とか)だらけなのに、ちゃんと対応をしている。次代の氏康の力量もちゃんとわかってて「勝って甲の尾を締めよ」さんだから、まあ周りがどんだけ騒ごうが勝ち抜くはなあ、この家。それにしても今川義元(いやおそらく寿桂尼と雪斎)の空気読まない感、パない。2021/01/08
げんさん
2
北条五代の中で、最も知名度の薄い二代氏綱の事績を、事細かにたどる。筆者もあとがきで述べているが、残念ながら氏綱関連の資料は氏康に比べ著しく少なく、不明な点も多い。それがマイナーにとどまる要因なのでもあろうが、北条の名跡を継ぎ、左京太夫となり、鶴岡八幡宮を再興するなど、55歳の生涯で成したことは多い。両上杉家、武田家、上総下総安房の諸勢力(晩年には今川家も加わる)と合従連衡を繰り返すも最終的に北条家を南関東の雄とした手腕は高いものがあったようだ2020/08/21
ぎじぇるも
2
北条氏としての特色ある政治制度や関東政界での立ち回りなど五代を語る上では避けて通れない氏綱であるが、伊勢宗瑞、北条氏康の影に埋れてしまい今まで単著がほとんどなかった。にも関わらず北条ファンにその軌跡が知られているのは複数の本に氏綱が記載されているからである。その事自体が氏綱を外して語れない照査だと思う。他国の狂徒から関東政界のNo.2まで登り詰める様や京都政界との関わり方、寺社の再興など単著で読めるのはよい。思ったのが小田原と目と鼻の先にある熱海の伊豆山権現社は度々氏綱との関わりがくる。コメに続く2020/06/27