出版社内容情報
北条義時(1163?1224)鎌倉幕府執権
源氏将軍が途絶えた後、実質的に権力をふるう。政治の主導権をめぐる朝廷と幕府の関係悪化から発生した承久の合戦では、幕府軍がはじめて武力で朝廷を制圧した。戦後、後鳥羽上皇ら、三上皇を配流し、その後の朝幕関係を大きく変えた。本書では時代により評価が揺れる義時の実像にせまる。
内容説明
北条義時(一一六三~一二二四)は鎌倉幕府執権。源氏将軍が途絶えた後、実質的に権力をふるう。政治の主導権をめぐる朝廷と幕府の関係悪化から発生した承久の合戦では、幕府軍がはじめて武力で朝廷を制圧した。戦後、後鳥羽上皇ら、三上皇を配流し、その後の朝幕関係を大きく変えた。時代により評価が揺れる義時の実像にせまる。
目次
序章 変化する人物像
第1章 「北条」の大地のなかで
第2章 幕府草創のなかで
第3章 変転する幕政のなかで
第4章 錯綜する桎梏のなかで
第5章 覇権への途
第6章 怯える義時
第7章 彷徨う義時
終章 翻弄される義時
著者等紹介
岡田清一[オカダセイイチ]
1947年茨城県生まれ。1970年國學院大學文学部卒業。1975年学習院大学大学院人文科学研究科博士課程(史学専攻)満期退学。1977年東北福祉大学専任講師、助教授、教授を経て、東北福祉大学大学院教育学研究科嘱託教授。専門は日本中世史。博士(文学)(東北大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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岡本正行
19
いま人気絶頂の北条義時である。フィクションとノンフィクションの違い、重々、承知している。実際の義時、現実は、もっと違うだろう。ひとつの大きな日本の歴史を生きた、飾った人ではあった。独裁者頼朝の後を受けた頼家や実朝、それを補佐する義時たち、実際は、権力争い、それに勝って生き抜く。それが「鎌倉の13人」、昔からの知人友人、多くの人々と争わざるを得ず、利害関係者の代表、そしてある日突然、死ぬ。正規の歴史は、現実とは大きく異なる。それを三谷幸喜さんたち脚本家がドラマとして書き上げる。それも面白い。義時は死んだ。2022/03/30
ほうすう
11
北条義時にはあまり良いイメージは無いなあと思っていたが本書を読んだうえでも大本のイメージは変わらず。歴史上の人物を善悪で割り切るようなものではないと分かってはいるが和田合戦のあたりの義時はやはりあまり好きではない。人間味があるといえば聞こえも良いが案外決断力のない人だったのかなという印象も所々受ける。それにしても梶原景時・比企能員・畠山重忠・和田義盛・頼家・実朝と頼朝死後から殺し合いが激しすぎでしょ。鎌倉武士は恐ろしい。2019/06/09
MUNEKAZ
9
北条義時の評伝。昔ながらの策謀家で頭の切れる義時というよりは、細川重男氏の著作とも共通する状況に翻弄されながらも着実に立場を高めていく人という印象。驕りから実朝の不興を買ったり、後鳥羽院との対決を前にたじろいだりと人間臭いエピソードが面白い。『吾妻鏡』の潤色もあるのだろうが、とにかく初期鎌倉幕府はアウトレイジな人物が多すぎて(時政や政子なんてとくに)、一番大それたことをやった義時が、相対的に真面目に見えてくるから不思議である。2019/04/24
うしうし
5
ミネルバ日本評伝選のシリーズは、他の新書等と比較すると専門的で難しいため、内容を読みこなせているかどうか不安。最近、坂井孝一センセの新書等を読んだが、坂井説と決定的に異なるところは実朝の政治手腕に関する評価だと思う。坂井センセや五味センセは実朝親裁を非常に高く強化するが、著者の岡田氏は健保4年(1216)の政所別当増員を実朝の親裁権が強化されたと評価せず、健保6年頃から実朝が「積極的な幕政への関与が見られなくなり」、「幕政への意欲を失った」とし、それに反比例するように、2022/04/03