出版社内容情報
「資格」から「選抜」へ。明治前期から後期にかけて、旧制高等学校の入試は、どのような変容を遂げたのか。教育制度の確立により、入試が「資格」を問うものから「選抜」の道具へと変わっていく様相を考察する。また、そのような「選抜」を支えることになる予備校や受験メディア、青年をその世界に送り出す中等教育機関の状況も分析し、私たちが「受験」という言葉からイメージする構図が成立していく様相を明らかにする。
内容説明
「受験」は如何に誕生したのか。明治前期から後期にかけて、大きな変容を遂げた旧制高等学校入試。教育制度の確立は、入試をどのように変えたのか、それを支える体制がどのように構築されたのかを考察する。
目次
入学試験の歴史を問う意味
第1部 学校制度の確立と入学試験―「選抜」としての入学試験への変化と選抜秩序の強化(高等学校の入試制度の変化―「資格」から「選抜」へ;入試問題講評にみる高等学校側の入学試験観の変化―変わらない選抜観)
第2部 受験文化の成立―「選抜」への対応と適応(予備校の成立―中等教育機関の補完から受験学力の養成へ;受験メディアと受験生の志望行動―「選抜」秩序の内面化)
第3部 中学校補習科における完成教育の模索―「選抜」への対抗と中学校の独自性の模索(補習科関係法令の変遷と実業教育の位置付け―「選抜」から距離を取る中学校像の模索;受験準備を目的としない補習科の設置と挫折―千葉中学校の実業補習科)
「受験」の成立―「創設」の時代から「調整」の時代へ
著者等紹介
吉野剛弘[ヨシノタケヒロ]
1975年千葉県生まれ。1998年慶應義塾大学文学部卒業。2016年慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(教育学)。鹿児島女子短期大学講師、東京電機大学講師などを経て、埼玉学園大学人間学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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