出版社内容情報
民主主義の将来はどうなっていくのだろうか。アジア、中東、アフリカなど世界各国の事例から政治制度の根本を読み解く民主化の第三の波は多くの人々から期待を持って迎えられたものの、必ずしもその期待通りの結果をもたらすものではなかった。経済の停滞、所得格差、政治不安によって人々の失望を引き起こすこともあった。それは、民主主義を後退させ、権威主義の強化を生む。本書は、アジア、中東、アフリカなど世界各国の事例から新興民主主義国の現状を把握することによって、民主主義という政治制度の持つ意味をあらためて考えるものである。
序 章 民主主義の後退──発展途上国における政治危機(川中 豪)
第1章 「民主主義の後退」をめぐる理論(川中 豪)
1 民主主義は後退しているのか
2 4つのパターン
3 どのような因果メカニズムがあるのか
第2章 政治参加の拡大と民主主義の崩壊──タイにおける民主化運動の帰結(重冨真一)
1 政治混乱から民主主義崩壊へ
2 政治参加の拡大プロセス
3 民主主義崩壊の要因
第3章 非政党選挙管理政府制度と政治対立──バングラデシュにおける民主主義の不安定性(湊 一樹)
1 政治体制の変遷
2 非政党選挙管理政府制度
3 非政党選挙管理政府制度をめぐる対立と政治構造
第4章 外圧の消滅と内圧への反発──トルコにおける民主主義の後退(間 寧)
1 政党政治とAKP政権
2 民主主義後退と委任型民主主義
3 民主主義の進展と後退を規定した3つの要因
第5章 一党優位と民主主義──南アフリカにおける民主主義の揺らぎ(牧野久美子)
1 体制転換と民主化後の政治動向
2 民主主義の現状
3 一党優位と立憲主義
第6章 重層的マシーン政治からポピュリスト体制への変容か──ロシアにおける権威主義体制の成立と展開(大串 敦)
1 「不履行による多元主義」から重層的マシーン政治へ
2 重層的マシーン政治からポピュリスト政治へ
3 ポピュリズム体制成立の条件
第7章 民主主義と非民主主義の併存──メキシコにおける地方の競争的権威主義体制(馬場香織)
1 PRI権威主義体制下の「地方」
2 中央レベルの民主化と地方の非民主主義
3 イダルゴ州にみる体制併存のメカニズム
第8章 表現の自由・水平的アカウンタビリティ・地方の民主主義──定量データでみる世界の新興民主主義(菊池啓一)
1 民主主義の定義と各国の政治体制
2 ポリアーキーの構成要素と新興民主主義国
3 「厚い」民主主義概念と新興民主主義国
終 章 新興民主主義はどこへ(川中 豪)
あとがき
人名・事項索引
川中 豪[カワナカ タケシ]
編集
内容説明
民主化の第三の波は多くの人々から期待を持って迎えられたものの、必ずしもその期待通りの結果をもたらすものではなかった。経済の停滞、所得格差、政治不安によって人々の失望を引き起こすこともあった。それは民主主義を後退させ、権威主義の強化を生む。本書は、アジア、中東、アフリカなど世界各国の事例から新興民主主義国の現状を把握することによって、民主主義という政治制度の持つ意味をあらためて考えるものである。
目次
序章 民主主義の後退―発展途上国における政治危機
第1章 「民主主義の後退」をめぐる理論
第2章 政治参加の拡大と民主主義の崩壊―タイにおける民主化運動の帰結
第3章 非政党選挙管理政府制度と政治対立―バングラデシュにおける民主主義の不安定性
第4章 外圧の消滅と内圧への反発―トルコにおける民主主義の後退
第5章 一党優位と民主主義―南アフリカにおける民主主義の揺らぎ
第6章 重層的マシーン政治からポピュリスト体制への変容か―ロシアにおける権威主義体制の成立と展開
第7章 民主主義と非民主主義の併存―メキシコにおける地方の競争的権威主義体制
第8章 表現の自由・水平的アカウンタビリティ・地方の民主主義―定量データでみる世界の新興民主主義
終章 新興民主主義はどこへ
著者等紹介
川中豪[カワナカタケシ]
1989年早稲田大学法学部卒業。博士(政治学・神戸大学)。現在、アジア経済研究所地域研究センター長。専門、比較政治学、新興民主主義研究、政治制度論、東南アジア政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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