出版社内容情報
国内政治,同盟内政治,帝国の論理に拘束される アメリカ外交を多角的アプローチによって分析する。なぜアメリカ外交は,かくも国内政治要因に抑制されるのか。またなぜ,圧倒的なパワーを有するアメリカが同盟国から制約を受けるのか。そしてアメリカの帝国(と脱植民地化)に対する姿勢はなぜ,これほどまでにアンビヴァレントで,わかりづらいのか――。本書はこれらの問いから出発し,国内政治,同盟内政治,帝国の論理に抑制され制約を受けつつ,アメリカ外交がいかに形成され,遂行されていくのかを明らかにする。
序 章 〈抑制と均衡〉のアメリカ政治外交??問題の所在と分析枠組み
1 アメリカ外交と国内政治の論理
2 アメリカ外交と同盟内政治の論理
3 アメリカ外交と帝国(と脱植民地化)の論理
4 本書の分析枠組み
第?部 歴 史
第1章 「民主主義のディレンマ」とアメリカ政治外交
1 トクヴィルの「民主主義のディレンマ」
2 議会による「抑制と均衡」の限界
3 「保守の時代」から「リベラルの時代」へ?
4 「変革」の歴史的な文脈??イデオロギーの分極化
5 「保守とリベラル」を超えて
第2章 アメリカ政治外交の歴史
1 伝統としての現実主義
2 理念外交と権力外交のハイブリッド
3 国際システムの変遷とアメリカ外交
4 オバマ外交の理想と現実主義
5 トランプ勝利の背景としての病理とリスク
6 「トランプ・ドクトリン」?
第3章 同盟とアメリカ外交の伝統
1 錯綜した同盟への忌避感
2 孤立主義と単独主義の伝統??19世紀のアメリカ外交
3 ウィルソンのリベラルな国際秩序構想
4 ローズヴェルトの戦後国際秩序構想
5 冷戦とアメリカの同盟
第4章 アメリカと帝国、「帝国」としてのアメリカ
1 「帝国的共和国」としてのアメリカ
2 「自由の帝国」と反植民地主義
3 帝国主義世界体制の成立
4 帝国主義世界体制の揺らぎ
5 冷戦期の脱植民地化
6 「帝国」としてのアメリカ?
第?部 構 造
第5章 アメリカ外交に見る「権力の共有」
1 パシフィカス対ヘルビディアスの論争
2 アメリカ合衆国憲法による「権力の共有」
3 超党派構造と「創造的緊張」
4 議会の復権
5 上院から下院へのパワー・シフト?
第6章 アメリカ外交の政策決定過程??大統領と議会のせめぎ合い
1 「二レベル・ゲームズ」という視角と政策タイプ
2 政策決定過程の見取り図
3 議会と対外政策プロセス??議会の役割とタイポロジー分析
4 議会における政策過程??議会の手段とプロセスの変化
5 冷戦後の議会における政策過程の変化
第7章 現代アメリカの政党の変容??1970年代以降を中心に
1 アメリカの政党を見る眼
2 政党制の再編成??決定的選挙なき「第六次政党制」
3 政党と権力??「分割政府」の常態化?
4 政党の変容??イデオロギーの重なり合いから分極化へ
5 「イデオロギーの分極化」がもたらすものは何か?
第8章 同盟内政治の論理とアメリカ外交
1 冷戦後同盟の変容
2 同盟と抑止・勢力均衡とは何か
3 冷戦史研究と同盟内政治の論理
4 同盟をめぐるディレンマ
5 同盟継続という選択
第?部 プロセス
第9章 英米の「特別な関係」の形成??1939~45年
1 英米間の対立と協調
2 第二次世界大戦の勃発と英米協調の萌芽??1939~41年
3 「特別な関係」の形成??1941~43年
4 戦後国際秩序の形成へ??1943~45年
5 「特別な関係」と第二次世界大戦後の国際秩序
第10章 英米の「特別な関係」の再構築とNATОの形成??1945~55年
1 アメリカの同盟の特質
2 英米の「特別な関係」の冷却化??1945~46年
3 冷戦の開始がもたらした変化??1947年
4 ブリュッセル条約の締結と英米の「特別な関係」??1948年
5 英米の「特別な関係」とNATOの形成??1949年
6 「二重の封じ込め」と「招かれた帝国」
第11章 「差別的デタント」の脅威??1969~71年
1 アメリカのデタント政策をいかに捉えるか
2 「差別的デタント」の論理
3 ニクソン政権のネガティブ・リンケージ
4 ニクソン政権のポジティブ・リンケージ
5 米独におけるデタント構想の比較
第12章 アメリカ議会の復権??1969~74年
1 「議会の復権」???問題の所在と設定
2 戦争権限と議会の復権
3 軍備管理と議会の復権
4 対外援助と議会の復権
5 通商と議会の復権
6 国連予算・軍事予算・海外プレゼンス・予算統制と議会の復権
7 対等となる上院と下院
第13章 共和党多数議会の成立とクリントン外交??1994~2000年
1 二つの分水嶺??冷戦の終結と共和党多数議会の成立
2 冷戦後のブッシュ・シニア外交とクリントン外交
3 共和党議会の政策イニシアティブ
4 「1996年問題」
5 『アメリカとの契約』とクリントン外交
6 冷戦後の大統領と議会の課題
第14章 21世紀の日米同盟と中国の台頭??2001~15年
1 冷戦後における日米同盟の強化
2 テロ後の日米同盟の強化
3 中国の台頭と海洋進出
4 オバマ政権の政策対応
5 安倍政権の政策対応
6 「牽制と抱擁」「統合と牽制」の両面政策の行方
第15章 米中間で「新型の大国関係」は可能か???2016年まで
1 「新型の大国関係」とは何か
2 アメリカの両面政策と不吉な結末
3 時代遅れの大国間戦争と新たに台頭する大国間対立
4 米中対立の現場
5 米中「新型の大国関係」の可能性
第16章 2016年大統領選挙とトランプ政権の誕生
1 2016年11月の大統領選挙のプロセス
2 四つのサプライズ
3 変化か継続か?
4 大統領選挙(と議会選挙)の結果とトランプ勝利の要因
5 トランプ政権の人事構想
6 トランプ政権の早期の人事交替劇
7 トランプ政権の政策構想
8 トランプ政権の基本政策
終 章 トランプ以後の世界?
1 トランプ政権の対外政策の始動
2 トランプ外交とリベラルな国際秩序の行方?
3 変化と継続のアメリカ外交
4 トランプ政権の『国家安全保障戦略(NSS)』
あとがき
主要参考文献
人名・事項索引
島村 直幸[シマムラ ナオユキ]
著・文・その他
内容説明
なぜアメリカ外交は、かくも国内政治要因に抑制されるのか。またなぜ、圧倒的なパワーを有するアメリカが同盟国から制約を受けるのか。そしてアメリカの帝国(と脱植民地化)に対する姿勢はなぜ、これほどまでにアンビヴァレントで、わかりづらいのか―。本書はこれらの問いから出発し、国内政治、同盟内政治、帝国の論理に抑制され制約を受けつつ、アメリカ外交がいかに形成され、遂行されていくのかを明らかにする。
目次
“抑制と均衡”のアメリカ政治外交―問題の所在と分析枠組み
第1部 歴史(「民主主義のディレンマ」とアメリカ政治外交;アメリカ政治外交の歴史;同盟とアメリカ外交の伝統 ほか)
第2部 構造(アメリカ外交に見る「権力の共有」;アメリカ外交の政策決定過程―大統領と議会のせめぎ合い;現代アメリカの政党の変容―一九七〇年代以降を中心に ほか)
第3部 プロセス(英米の「特別な関係」の形成―一九三九~四五年;英米の「特別な関係」の再構築とNATOの形成―一九四五~五五年;「差別的デタント」の脅威―一九六九~七一年 ほか)
トランプ以後の世界?
著者等紹介
島村直幸[シマムラナオユキ]
1970年東京都生まれ。2006年一橋大学大学院博士後期課程満期退学。杏林大学総合政策学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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