出版社内容情報
伝統と革新のはざまで柔軟に変化する姿を描き出し、「土着混交」「迷信的」「田舎イスラーム」のレッテルを刷新する。東アフリカの民衆にイスラームを普及させたタリーカ(イスラーム神秘主義教団)と、近年盛んに実践されているスンナの医学(預言者ムハンマドの言行に基づく医学)をとおして、人々のイスラーム実践や世界観を考察する。人々は常に、「正しいイスラームとは何か」を模索し、時代の流れによって柔軟に実践や解釈を変容させてきた。現地調査に基づき、東アフリカの人々が形作ってきたイスラームを明らかにする労作。
序 章 多様な民衆のイスラームへのいざない
1 本書の目的と課題
2 研究対象地域・調査方法
3 本書の構成
第?部 東アフリカにおける民衆のイスラームへの視座
第1章 民衆のイスラーム
1 民衆のイスラームとは何か
2 民衆イスラーム論に関する先行研究
3 東アフリカにおける民衆のイスラーム研究
第2章 東アフリカ沿岸部の概要
1 スワヒリ地域とは
2 地形がもたらした沿岸部と内陸部の関係
3 ザンジバルの盛衰──歴史的概要
4 イギリス統治以降の民族構成
第?部 東アフリカにおけるタリーカ
第3章 東アフリカのタリーカ
1 タリーカとは
2 先行研究による東アフリカのタリーカ
3 現在の東アフリカのタリーカ
第4章 タリーカと預言者生誕祭
1 マウリディとは何か
2 都市部ストーンタウンの生誕祭
3 北部A村の生誕祭
4 トゥンバトゥ島B村の生誕祭
第5章 ザンジバルにおけるタリーカをめぐる状況
1 各教団の起源
2 スィルスィラの有無
3 教団名の由来
4 ザンジバルのタリーカの特徴
第?部 東アフリカにおけるスンナの医学
第6章 預言者の医学
1 預言者の医学とは
2 歴史的背景
3 預言者の医学の著作が書かれた理由
第7章 「イスラーム的」医療と精霊の関わり
1 先行研究における「イスラーム的」医療の位置付け
2 ザンジバルにおける医療の類型
3 精霊の存在
第8章 ウガンガとスンナの医学の比較
1 典拠となる著作
2 治療の手段
3 治療に用いられるモノ
4 両者の類似点と相違点
第9章 スンナの医学の実践
1 情報媒体
2 治療所と治療者の属性
3 治療実践
4 スンナの医学が対象とする病/問題
5 病との付き合い
第?部 東アフリカにおける民衆のイスラーム
第10章 イスラームの知の変遷
1 ハドラマウト出身者によるイスラーム改革
2 「伝統的イスラーム」の否定
3 アンサール・スンナの活躍
4 イスラーム復興の潮流
第11章 伝統と改革のはざまで
1 ウガンガの改革
2 日常生活の中のスンナの医学
3 治療者養成を目的とした教育
4 治療方法の簡略化
終 章 移り変わる民衆のイスラーム
1 順応と葛藤がせめぎ合う民衆のイスラーム
2 これからの民衆のイスラームの地平
参考文献
あとがき
索 引
藤井 千晶[フジイ チアキ]
著・文・その他
内容説明
東アフリカの民衆にイスラームを普及させたタリーカ(イスラーム神秘主義教団)と、近年盛んに実践されているスンナの医学(預言者ムハンマドの言行に基づく医学)をとおして、人々のイスラーム実践や世界観を考察する。人々は常に、「正しいイスラームとは何か」を模索し、時代の流れによって柔軟に実践や解釈を変容させてきた。現地調査に基づき、東アフリカの人々が形作ってきたイスラームを明らかにする労作。
目次
多様な民衆のイスラームへのいざない
第1部 東アフリカにおける民衆のイスラームへの視座(民衆のイスラーム;東アフリカ沿岸部の概要)
第2部 東アフリカにおけるタリーカ(東アフリカのタリーカ;タリーカと預言者生誕祭 ほか)
第3部 東アフリカにおけるスンナの医学(預言者の医学;「イスラーム的」医療と精霊の関わり ほか)
第4部 東アフリカにおける民衆のイスラーム(イスラームの知の変遷;伝統と改革のはざまで)
移り変わる民衆のイスラーム
著者等紹介
藤井千晶[フジイチアキ]
2004年大阪外国語大学外国語学部地域文化学科アフリカ地域文化専攻卒業。2010年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科東南アジア地域研究専攻博士課程(5年一貫制)修了。博士(地域研究)。日本学術振興会特別研究員(DC2・PD・RPD)、大阪大学外国語学部非常勤講師、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教・特任助教などを経て、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科附属ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センター特任准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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